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自律型組織を考える(1)「ティール組織」

自律型組織を考える(1)「ティール組織」

2014年にフレデリック・ラルー氏によって著され、日本では2018年に英治出版から発行された『ティール組織』。当時、各所のビジネス書大賞で入賞し、瞬くまに日本中に知れ渡りました。あれから4年が経過しましたが、今でもティール組織のセミナーが開かれ、多数の人が集っています。

働く人々の価値観やライフスタイルが多様になり、リモートワークなど働き方の選択肢も増える中、自律型組織をどう構築するかは大きなテーマです。本記事では、そのヒントとして「ティール組織」に再注目してみたいと思います。

本記事ではティール組織とは何か? ティール組織を理解するにあたり必要な組織形態5フェーズの知識、ティール組織にまつわる誤解を解説していきます。

ティール組織とは?

ティール組織とは、社長や上司などのリーダーがマイクロマネジメントを行うのではなく、組織のメンバー一人ひとりが組織の社会的使命を理解したうえで、各現場において自律的に動いていく組織を指します。

ティール組織の特徴はパーパス(組織の存在意義)が明確で、セルフマネジメント(自主経営)とホールネス(全体性)を実現しているところにあり、『ティール組織』の著者フレデリック・ラルー氏は、ティール組織をこれまでの組織とは一線を画す組織形態だとしています。

ティール組織に至る5つの組織フェーズ

組織には発達過程があります。ティール組織は原始的な組織からのフェーズを内包しながら進化してきた組織です。

1.Red(レッド)組織
特定の個人の圧倒的な力でマネジメントする原始的な組織形態です。恐怖支配に近く、マフィアなどが相当します。

2.Amber(琥珀)組織
ピラミッド型の階級があり個々のメンバーの役割が決まっている組織です。命令系統はトップダウンであり個人は階級と役割に応じた仕事に徹します。軍隊などがあてはまります。

3.Orange(オレンジ)組織
組織内にヒエラルキーがありながらも個人の実力によって昇進したり、上意下達だけでなくボトムアップな意思伝達も多少は可能な組織です。一般企業の多くがあてはまります。

4.Green(グリーン)組織
ゆるやかな階級はあるものの、メンバーの意見、自主性がかなり尊重される民主的な組織です。一方で何かを決定する際に全員から合意を得るために時間がかかる傾向があります。NPOなどがあてはまります。

5.Teal(青緑)組織
組織に属するメンバーが、まるで一つの生命体の細胞のように自律的かつ調和的に動く組織です。メンバーたちの裁量権は大きく、一人ひとりが組織の意義を理解しているため、現場で迅速な意思決定ができます。
企業事例としては、「ザッポス伝説」という言葉を生んだ米国のアパレル通販サイト運営企業ザッポス社(Zappos.com)、日本ではクラウドサービスを展開するIT企業サイボウズ社などが知られます。また、書籍『ティール組織』にはさまざまな企業規模の事例が紹介されています。

ティール組織の3つの誤解

ティール組織を目指す際に留意すべき点を紹介します。

ティール組織が最も理想とは言えない
ティール組織は進化した組織形態ですが、ほかの組織より優れているとは言い切れません。例えば、災害時などの緊急事態は、大人数を迅速に動かせる指示命令系統の明確な組織が適している場合もあります。また、高い自律性を備えた人材と自律的な風土があってはじめて成り立つため、そうでない従業員が多い場合は、混乱を招く恐れもあります。

ティール組織に至る決まった手法はない
ティール組織とは形式ではなくパラダイム(概念的な枠組み)、つまり捉え方なので、ティール組織を実現していくプロセスも多様です。決まった手法は存在しません。そのため、まずは概念を理解した後で、具体的な手法を模索する必要があります。

組織の制度改革が先ではない
ティール組織はメンバーが高い「自主性」を持たないと成立しません。会社の存在意義が明確であることも必要です。軸になるのは制度ではなくメンバーと会社との「信頼関係」「意識の変容」です。

ティール組織を実現するにはどうすればよいか

ティール組織は、すぐに取り入れるべき組織管理手法といったものではなく、あくまで自律型組織のゴールの1つの形です。企業の存在意義やメンバーの自律性に依るマネジメントが機能すれば、組織のレジリエンスやイノベーションにも寄与するでしょう。しかし、会社のマネジメントのあり方をいきなり大きく変えることは現実的ではありません。
まずは、自律性の高いメンバーを集めて、チーム単位でティール組織を構築することから始めると良いでしょう。会社全体としてはオレンジ組織やグリーン組織であっても、プロジェクトチーム等でティール組織を機能させることができれば、自律的な人材にとってはモチベーションにつながりますし、会社としても、周囲への良い影響を期待できるでしょう。自分の会社では難しい、あるいは関係ないとあきらめるのではなく、従業員が「自律的な働き方」を実際に目にし、考えられるようにしていくことが、自律型組織への第一歩になると言えるでしょう。

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