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関 将宏

関 将宏

働き方改革にはQOWとQOLの向上がカギ

 自身の話になるが、子どもが産まれたことをきっかけに、働き方が変わった。その理由は、「凄い速さで成長する我が子の成長を見たい」、「多少でも家事や育児に参加して妻の負担を減らしたい」と思ったことにある。帰宅してやるべきことがあると、おのずと仕事への取り組み方も変わってくる。「今日中に終える仕事の優先順位は?」、「いかに短時間で良いアウトプットを出すか?」、「他のメンバーとの連携は?」など限られた時間の中で最大のパフォーマンスを出すための工夫をしながら仕事を進めるようになり、言うなればQOW(Quality Of Work:仕事の質)が変わった。

働き方といえば、内閣の諮問機関である「働き方改革実現会議」において、残業の上限を月間平均60時間に抑える案や同一労働同一賃金の在り方について議論がなされ、長時間労働の削減に向けた法制化などの取り組みが本格化している。一部企業の中には、従来のノー残業デイに加え、一定時刻に社内の照明やパソコンをシャットダウンするところもあり、その影響は広がっているように見える。しかしながら表面的な「労働時間短縮」や「同一労働同一賃金」は、企業にとってリスクになる可能性も指摘したい。

企業サイドから見た場合、単なる労働時間短縮は、生産性の低下やコスト増をきたす可能性があり、減益の影響は結局社員の処遇低下につながらないか? また「同一労働同一賃金」という言葉には表れない仕事の範囲や責任の重さ、転勤の有無、同一時間内に生み出される成果の量や質の格差に対してどのように対応するのか? これらへの対策を誤ると、頑張って貢献している社員のモチベーション低下を招きかねない。

最近、人事戦略コンサルティングにおいて働き方改革に関連するものが増加傾向にある。例えば長時間労働削減を進める中で、仕事の優先度や緊急度を認識し、無駄を排除してより効率的に時間を活用するための「効果的なタイムマネジメント」や「同一労働同一賃金」を前提としながら納得感のある評価基準に基づく合理的処遇格差の在り方などである。

一方、社員のサイドから見た場合、長時間残業が規制され、これまでは会社に居残って仕事をしているのが残業手当もついて一番楽だと考えていた人にとっては、どうしていいかわからず街をさまよってしまうという「残業難民」状態に陥るらしい。家に居場所がなく、小遣いも減って遊ぶこともできない「残業難民」をターゲットに夜間にアルコールを提供するコーヒーショップや格安の立ち飲み居酒屋が増えているとのことである。

要は「早く退社してこれがしたい」という何かがあれば、残業を抑制するモチベーションにつながるとも言える。ある会社が行った退社後の行動についてのアンケートによれば、25~34歳未婚層の上位は「Webサイトを閲覧する(53.1%)」「テレビを見る(52.5%)」「SNSをチェック/書き込む(31.9%)」といった時間消費型の活動となっていたが、残念ながら時間消費型の活動は残業を切り上げるモチベーションにはなりにくい。一方で「運動やスポーツをする(17.5%)」「資格や習い事、語学などの勉強をする(15.0%)」といった自己投資型の活動を行っている人の回答数が少なめだったのはやや残念な結果と言える。

30代前半の自身の周りの友人の間では、資格取得をめざす人が増えている。簿記やファイナンシャルプランナーなど仕事に活かせる資格を目指す人や色彩コーディネーターやワインエキスパートなど趣味の資格を勉強する人もいる。彼らは異口同音に「大人になってからの勉強は楽しい」と語っており、まさにQOL(Quality Of Life : 生活の質)を上げている。

一億総活躍社会や働き方改革といった耳触りの良い掛け声をだけでは何も生まれない。その当事者である企業は、それらの影響によってもたらされるリスクへの対応に万全を期す必要があり、個々の社員はQOW(Quality Of Work:仕事の質)とQOL(Quality Of Life:生活の質)両面の向上を図ることが求められることになる。

※引用
日経ビジネスONLINE 「残業が減らないのは家に帰りたくないから」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/278202/071500043/?P=4&rt=nocnt

株式会社パートナーエージェント 「若手社会人の”アフター5″は?」
http://www.p-a.jp/research/report_35.html

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