コラム

ワインで対談

ウェブ面接が採用市場にもたらす革新と地方創生の可能性とは – ブルーエージェンシー 前田 裕人さん × セレブレイン 関 伸恭【後編】

ウェブ面接が採用市場にもたらす革新と地方創生の可能性とは – ブルーエージェンシー  前田 裕人さん × セレブレイン 関 伸恭【後編】

セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第11回ゲストはウェブ面接システム「インタビューメーカー」を提供する株式会社ブルーエージェンシー・代表取締役の前田 裕人さんです。現在、採用の現場で注目を集めるウェブ面接ツールの有用性について伺うと共に、前田さんが構想されている「地方創生×ウェブ面接」のビジョンについてもお話しいただきました。聞き手はセレブレイン パートナーHR Techコンサルティング事業担当・関 伸恭が務めます。

第11回ゲスト:前田 裕人さん略歴

中学時代からバンド活動に打ち込み、音楽の専門学校を卒業後は開発会社に入社。退職後はバンド活動の資金集めのため、アルバイトとしてブルーエージェンシーに立ち上げメンバーの一人として参画する。その後、インタビューメーカーのリリースに携わり、2016年8月に代表取締役に就任した。

現在の採用市場は大企業と中小企業で二分化されている

関:インタビューメーカーが急成長している背景には、人材不足と言われる中で企業の採用を取り巻く環境の変化があると思います。今は売り手市場ですが、企業の採用担当者の皆さんは大変苦労されていますよね。

前田:本当に大変ですよね。今、人に満足している企業ってほとんどないんじゃないでしょうか。つねに良い人材がほしいと思っているはずです。

関:これまでの採用業務は労働集約的な側面もありますが、これからは採用プロセスを進めるにあたって、これまで以上に人材との接点を増やしていかないといけませんからね。昔は接点といえば求人媒体や展示会、人材紹介が中心でしたが、今はダイレクトリクルーティングやリファラル採用など、いろいろなやり方がありますし。

前田:そうなんですよね。ダイレクトリクルーティングやリファラルとなると、これまでと進め方が大きく変わりますので、企業の人事はマインドチェンジを迫られています。

関:以前は求人サイトに登録して、そこからやってくる人材をどうスクリーニングするかが人事の仕事でした。ところが、今は応募してくれる人を増やす行為にかなり力量をおいて実施していかないとうまく進みません。そういう意味でもウェブ面接はニーズがあると感じます。時間や空間を超えていつでもどこでも面接ができるのは大きなメリットですね。

前田:ええ。現在の採用市場は二分化されています。大企業の場合は応募が多すぎて、一人ひとりの応募者を見極めていくことが大変です。全員面接したいが、そこまで行うには人も時間も足りない。スクリーニングするのにもなるべく書類ではなく応募者と話をしたい。そこでウェブ面接を活用して、質と量を確保することに取り組んでいます。一方で、中小企業は応募が少なく、とにかく応募者を増やしたい。しかし応募者からすると面接に出向くこともハードルになりますから、辞退してしまうことも少なくありません。ウェブ面接は出向く必要がありませんから、応募のハードルを下げることができるんです。

関:なるほど。大企業と中小企業、それぞれの事情は違っても、どちらにもウェブ面接のニーズがあるわけですね。

採用に対する企業の危機感が増している

野村/店長:続いてのお料理は「大人のロールキャベツ」です。赤ワインで煮込んでいて、メインとして召し上がっていただけるボリュームのある一皿です。お肉は粗い合いびき肉で、それを薄い豚足で巻いて、下仁田ネギでキャベツを結びました。

前田:普通のロールキャベツとぜんぜん違いますね! これはおいしそうです。

関:こうなるとワインが気になりますね。

野村/店長:大人のロールキャベツに合わせるワインはブルガリアの赤ワイン、カタルジーナ・メゼック マヴルッドをご用意しました。

前田:ブルガリアですか!

関:あまり聞かないですね。

野村/店長:そうなんです。ブルガリアワインは日本にはあまり入ってきていないのですが、実は昔からワインをつくっている国なんです。このワインはブルガリアの土着品種であるマブルッド100%のワインで、シラーに似た雰囲気があり、お肉にも合います。

関:たしかに香りにブラックベリーなど黒系果実のニュアンスを感じます。それでいて親しみやすくキャッチーな味わいですね。タンニンもなめらかですし、シラーよりも果実味がふくよかで陽気な印象です。

前田:ロールキャベツのジューシーな合いびき肉とすばらしくマッチしますね。豚足のコリッとした食感も面白いです。

関:お話を戻しますと、採用といっても新卒や中途、アルバイトなどがあるかと思いますが、インタビューメーカーはどの領域に一番使われているのですか?

前田:一番多いのは中途採用ですね。というのも中途採用の対象となる方は、昼間は現職の会社で働いていることが多いですよね。そうなるとなかなか面接する時間を確保するのも簡単ではありません。そこでウェブ面接が役立つのです。

関:なるほど。対面での面接だと会社側の事業部門の方々などのスケジュール調整も大変ですよね。弊社はヘッドハンティング事業も行っていますが、現職でバリバリ活躍されている人材の方との面談調整は、時間がかかることが多いです。

前田:ええ。そうしたなかでまず話だけでもできるのは大きなメリットですよね。そこで動機形成ができれば次につなげることができますし、そもそもミスマッチングなのであれば、それも早くわかるに越したことはありませんから。

関:HR Techでは採用関連の領域がもっともマーケット規模が大きいと言われています。今後ウェブ面接はもっと成長していきそうですね。最近の人事業界をご覧になって、変わってきたなと思うことはありますか?

前田:二つあります。まず「ウェブ面接って何?」という状態だったのが、「今検討中です」という反応が増えました。もう一つは、採用に対する企業の危機感が増していると感じています。何か手段を変えないと良い人が採れないということに気づき、その結果ウェブ面接を採用する企業が増えている印象です。

関:同感です。採用は今、大きく変わろうとしていますね。

ウェブ面接がもたらす地方創生の可能性

野村/店長:続いてのお料理は「イカボナーラ」です。イカの身や白身魚のすり身をカルボナーラ風に仕上げました。黒い色なのはイカスミを使っているからです。クリーミーで、濃厚な旨味がつまった一皿です。

前田:これもユニークですね!

関:こちらにはどんなワインを?

野村/店長:魚介なので白ワインも合いますが、今回はあえてギリシャの赤ワインを合わせました。キリ・ヤーニのラミニスタというワインで、ぶどうは土着品種のクシノマヴロ100%です。ピノ・ノワールやメルローに近いニュアンスがあります。ギリシャは海が近いこともあり、魚介によくマッチすると思いますよ。

関:初めて飲む品種ですが、おいしいですね! イカボナーラのクリーミーな舌触りが、ワインの優しい雰囲気に似ていますね。しっかりとした酸味とミネラル感があり、どこか海を思わせるワインです。なるほど、赤ワインですが魚介ときれいにマリアージュしますね。

前田:すごく良い香りですね。そして確かにイカボナーラとよく合います。

関:さて、最後にブルーエージェンシーさんの今後の展開についても伺いたいと思います。インタビューメーカーのお話を聞いていて、採用だけでなく社員との面談にも使えるのではと感じました。

前田:実はそうやって使っていただているクライアントもあるんですよ。

関:やはりそうですか! コンサルティングの現場にいる立場からすると、上司と部下の対話ツールとしても便利だなと思いました。上司がウェブ面接で部下と接している姿を振り返りなどに活用することで、マネージャー育成にもなりますよね。組織改善につながりそうです。

前田:現場を可視化できるというのは大きいですよね。

関:そういえばブルーエージェンシーさんはシンガポールに子会社をつくられたと聞きました。なぜシンガポールなのでしょう?

前田:世界中の大企業のヘッドオフィスがシンガポールに集まっていますからね。今後はタイやマレーシアなど様々な国に進出するつもりです。

関:それは大変楽しみですね。国内のマーケットではどう展開されていくのですか?

前田:地方創生とのコラボレーションを考えています。 2月に宮崎県の日南市と移職住プロジェクトという移住希望者や求職者と日南市の事業者をつなげて、移住促進や人材確保を目指す取り組みを開始しました。地方自治体は人口減少が進む中、経済の活性化を図っていくために移住を促進して人を呼び込みたいと考えています。それと同時に企業も誘致したいと考えています。

関:地方に移住したいという人がいたとしても、確かに生活の基盤となる仕事が確保できないと難しいですよね。

前田:そうなんです。移住したいと考えていても仕事がなければ暮らせない。仕事を探そうにも、移住前に就職活動をするのはとても大変です。面接のたびに何度も地方へ行くのは難しいですからね。僕はここが地方移住の足かせになっていると思っています。そこで役立つのがウェブ面接なんです。僕たちは日南市と一緒になって現地の魅力を打ち出すメディアを創りました。メディアを通じて日南市のことを知って、興味を持ってもらい、移住のハードルはウェブ面接でなくしていくという流れです。

関:すばらしい取り組みです!これは世の中が大きく変わる可能性もありますね。

前田:ええ。移住したいと考えている潜在層はかなりいると思っています。そこを掘り起こせたら嬉しいですね。衣食住ならぬ“移職住”で地方創生に貢献したいと思います。

関:WEB面接で日本の地方を活性化!ですね。本日はありがとうございました!

ブルーエージェンシーが参画されている「宮崎日南移住ナビ」はこちらをご参照下さい。
http://nichinan-uji.jp/

今回のお店
あじる亭 Annesso
赤坂見附駅から徒歩5分。赤坂あじる亭の姉妹店で、Annesso(アネッソ)とはイタリア語で「別館」という意味。2018年にリニューアルオープンしました。フレンチをベースに、ワインに合う欧風料理と世界のワインをご提供します。スタッフは全員がソムリエ有資格者。シェフのこだわり料理をバルスタイルでどうぞ!
編集後記

ライター・カメラマンの山田井です。

前田さんのお話を伺って、思っていた以上にウェブ面接のメリットは大きいと感じました。採用活動に苦労している企業からは、ますます注目が集まりそうです。

また、後半の地方創生にかける前田さんの熱い思いには胸を打たれました。地方移住のハードルになっているのが「職」だというのは、本当にその通りだと思います。移住前に仕事が見つかりやすくなれば、本格的に人が動くようになりそうですね。

そして今回のお料理とワインもすばらしいものでした。

ブルガリアやギリシャといった、普段あまり目にしない国のワインがグラスで気軽に楽しめるのはあじる亭Annessoならでは。シェフによる唯一無二のお料理と合わせて、ぜひ皆さんも楽しんでみてください。

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