コラム

ラーニングプラットフォームの新時代

グローバル化、デジタル化、加えてパンデミックに伴う社会やビジネス環境の激変。これまでの予想をはるかに超える変化が次々に起こる時代は、脅威に際してもゆるぎない意志と問題解決能力で立ち向かい、機会を最大限に活かせる従業員の能力、スキル、精神力が重要になります。企業が従業員の学びに投資することはもはや必須の時代でしょう。
今年も9月28日~10月1日に開催が予定されている「HR Technology Conference & Exposition®」ですが、昨年の基調講演において、従業員に仕事をしながら学んでもらうこと、ハードスキルだけでなくヒューマンスキルを学ぶ重要性などについて言及がありました。また、HRテックが人事担当者向けのHR Techから従業員を軸にした「Work Tech」へ変化していることにも触れています。
本記事では、同講演で言及された新時代のラーニングシステム「ラーニング・エクスペリエンス・プラットフォーム(LXP)」「マイクロラーニング・プラットフォーム」「プログラム・デリバリー・プラットフォーム」を紹介します。

従業員の学びとは

企業が人材を育成し一人ひとりの生産性を高めるためには、スキルだけでなく従業員満足度、モチベーションを高める研修機会や学習機会の提供が欠かせません。
教育への投資は従業員の仕事の意欲を高めます。従業員エクスペリエンスの改善は組織への愛着や働きがいへとつながり、その結果、企業風土に活気が生まれれば、事業成長にもプラスの影響が出ます。
では、個人のスキルや意欲を高める研修・教育システムとはどのようなものでしょうか? 近年は、進化したデジタルテクノロジーを活用すれば、大きなコストをかけずとも従業員に最適な学びの場を提供できます。
次項では近年のトレンドである「ラーニング・エクスペリエンス・プラットフォーム(LXP)」などの新しい学習システムを紹介します。

LMSからLXPへ/変化する学びの環境

これまでのラーニングシステムは、カリキュラム・学習者の成績を統合して管理する「ラーニング・マネジメント・システム(以下、LMS)」が主流でした。個人の学習ペースや強み・弱みなどのデータを踏まえて管理者が指針を決めます。プログラムに沿って進めるためスキル習得のルートがわかりやすいメリットがありましたが、一方で個人のニーズ・成長度合いに合うプログラムの提供という側面では課題がありました。
近年誕生したのが、より個人の学びを重視する「ラーニング・エクスペリエンス・プラットフォーム(以下、LXP)」です。LXPは一人ひとりが必要とする学習プログラムをAIがパーソナライズし、学習者が内容を選択できます。もちろん、自社従業員に必要なカリキュラムを中心に構成できるのですが、サードパーティーのオープンコンテンツの情報も含めてAIがレコメンドするため、より個人に最適な学習環境を提供できます。

  • LMS→管理側主体で学習教材を提供
  • LXP→AIがサポート・学習者自ら学びの環境を整える

一元的なラーニング管理システムから個人の志向性、進捗にあわせたキュレーション・推奨機能を持つラーニングプラットフォームにトレンドが移り変わりつつあります。

その他の学習方法

従業員が多忙で時間をとれず、なかなか学習の習慣が身につかない企業では「マイクロラーニング・プラットフォーム」の導入が進んでいます。 マイクロラーニング・プラットフォームとは3~10分程度のカリキュラムを揃えた手軽に学べるラーニングシステムです。
通勤中、昼休み、休憩時間はもちろん業務中の空き時間を活用して、いつでもどこからでも新しい知識を習得できます。一般に学ぶときには集中するため数分でもかなり知識をインプットできます。語学、経理、法務、マネジメント、企業理念など広範囲なカリキュラムに活用できるでしょう。
また、Amazonが提供するAWS サービスのサービスデリバリープログラムのような外部の「プログラム・デリバリー・プラットフォーム」を導入し、配信される教育コンテンツから専門知識を学び資格取得を目指す方法もあります。さまざまな新スタイルの学びを取り入れて個人の自律性や能力を引き出すことに役立てましょう。

まとめ

従業員の学びへの投資は企業全体の成長につながります。AIなどの先端テクノロジーを活用したラーニングプラットフォームを提供することで、従業員が勤務時間や日常の空き時間に積極的に学ぶようになれば、能力が向上するだけでなく、学び成長していくことをよしとする企業風土も醸成されていくでしょう。
従業員の成長を支援して向上心を刺激し、持っている潜在能力を最大限に発揮してもらうことで組織力を向上させていきましょう。

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