コラム

ワインで対談

HRテクノロジーを活用するために求められる日本企業の取組みとは – ウイングアーク1st民岡良さん × セレブレイン 関 伸恭【前編】

HRテクノロジーを活用するために求められる日本企業の取組みとは – ウイングアーク1st民岡良さん × セレブレイン 関 伸恭【前編】

セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第12回ゲストは、ウイングアーク1st株式会社 営業・カスタマーサクセス本部 人事ソリューション・エヴァンジェリストの民岡良さん。HRテクノロジーの最先端のトレンドや活用をすすめる上で求められる企業の取組みについて伺います。聞き手はセレブレイン パートナーHR Techコンサルティング事業担当・関 伸恭が務めます。

第12回ゲスト:民岡 良さん略歴
ウイングアーク1st株式会社 人事ソリューション・エヴァンジェリスト。日本オラクル、SAPジャパン、日本IBMを経て2018年10月より現職。HRテクノロジー・コンソーシアムの理事、および日本CHRO協会のアドバイザーも務める。著書に『HRテクノロジーで人事が変わる』(2018年 労務行政、共著)がある。

思わぬ出会いがオラクル入社の決め手に

関:民岡さん、あじる亭にようこそ! 今回は日本の人事に求められるデータ活用のあり方や、HRテクノロジー活用を効果的に進めていく上で前提となってくる考え方を伺いたいと思います。でも、かしこまった対談ではありませんから、飲みながらお話しましょう(笑)。まずはクレマン・ド・ブルゴーニュで乾杯!

民岡:乾杯!といきたいところなのですが、実は私、お酒が飲めないんです。でも、美味しいものは大好きなので今日はとても楽しみにしています!

関:美味しいワインを一緒に味わえないのは残念です。でも、大丈夫です。あじる亭ではお酒をお飲みにならない方向けのドリンクもしっかりありますし、料理はもちろん美味しいです。今日はぜひ楽しんでください。

民岡:こちらのあじる亭は御社のグループ会社なんですよね?

関:ええ。人事コンサルティング会社が飲食店も経営するというのは珍しいとよくいわれます。お店ができた経緯については店長の小巻さん、お願いいたします。

小巻/店長:もともとはセレブレインの副社長である高橋が大のワイン好きだったことが始まりです。お客様との会食や会社関連の食事で使えるお店がほしいと考えた高橋が、2001年にセレブールというお店を開業しました。そこから店舗を増やし、現在は赤坂に系列店が4店舗ございます。あじる亭もその一つです。ちなみにあじる亭という言葉はIT用語の「アジャイル」から来ています。

民岡:そうだったんですね! アジャイルとはユニークです。

関:民岡さんは弊社の高橋とも以前からお付き合いがありますよね。

民岡:ええ。今回の対談のお話をセレブレインさんからいただいたとき、これはもう絶対に高橋敦子(セレブレイン代表取締役副社長)さんと私の関わりについてお話しなければ! と意気込んできたんです。

関:そんなにですか!?

民岡:だって、私がIT業界に入れたのは100%高橋さんのおかげですからね!

関:そういえば民岡さんは、高橋が採用の責任者を務めていた頃の日本オラクルに新卒で入社されていますよね。

民岡:ええ。当時、私はITの経験もなく、オラクルがどんな会社なのかもよく知りませんでした。ただ、何か凄そうだぞと思ってエントリーしたんです。ところが、なかなか話が進まず、しびれを切らして高橋さんに直接どうなっているのか伺ったのです。

関:それはすごい行動力ですね!

民岡:それで、高橋さんに「IT未経験だけど誰よりも熱意はあります!」ということを伝えました。そうしたら気に入っていただけて、それからすぐ速達で採用の通知が来たんです。

関:そうだったんですね。それはなかなかユニークなエピソードですね(笑)。

民岡:そんな対応をしていただいたので、オラクルという会社はすごい! とますます心酔しました。後から知った言葉ですが、私にとってオラクル、そして高橋さんとの出会いはまさに「セレンディピティ(予期せぬ幸運との出会いや発見)」だったんです。

関:民岡さんは今でこそ日本のHRテクノロジーの第一人者として活躍されていますが、キャリアの始まりはむしろ情緒的なお話からだったのですね。

民岡:そうなんです。誤解されがちですが、私は何もかもがテクノロジーでどうにかなるとは思っていません。テクノロジーでどうにもならない部分もあります。それはきちんと人間が判断したり、実施することが必要です。その上で、これまで勘やこれまでの経験などに過度に頼り切っていた部分をテクノロジーで補っていくべきだと思っています。高橋さんとの出会いは幸運なキャリアのスタートでした。あのとき感じたセレンディピティを出来るだけ多くの方々に経験して頂きたい、そのためにはテクノロジーをうまく活用すると実現性が高まるのである、というちょっと変わった考えをもって仕事をしています。

関:なるほど。ちょうどここで最初のお料理が来たようです。

高いモチベーションを持って入社した日本オラクルを4年で辞めた理由

小巻/店長:まず召し上がっていただきたいのは『渋谷チーズスタンドモッツァレラとイチジク』です。渋谷にあるチーズ専門店・チーズスタンドさんのチーズを旬のイチジクとあわせてどうぞ。

民岡:チーズスタンド、知っていますよ! チーズに関してはチーズプロフェッショナルの資格を取ろうかと思っているくらい大好きなんです。

関:えっ、そうなんですか! 民岡さん、本当に美味しいものがお好きなんですね。

民岡:それはもう大好きです。私はランチ一食にだって全力で取り組んでいますからね!(笑)

関:すばらしいですね!

民岡:……うん、とても美味しいですね。見た目も色鮮やかで楽しく、贅沢な味わいです。さすがチーズスタンドのモッツァレラ。濃厚でイチジクとも相性抜群です。

関:季節によってフルーツは変わるので、一年を通して楽しみたい一皿ですね。……さて、お話に戻りまして、民岡さんはその後、日本オラクルを辞めてSAPジャパン、そして日本IBMというキャリアを歩まれています。そのあたりについても伺えますか。

民岡:ええ。先ほどお話したように、熱い想いをもって入社した日本オラクルですが、実は4年くらいであっさり辞めてしまうんです。

関:え、それはまたどうして……。

民岡:おかしいですよね。すごく高いモチベーションをもって入社したのに、やりたい仕事がなくなって辞めてしまったんです。いや正確には、浅はかにも「社内にはやりたい仕事がない」と勘違いして辞めたんですね。要するに「適職」とのマッチングの問題だったと思っています。当時の私の状況こそが、今でも考えるべき人事の課題なんだと思います。

関:モチベーションだけではダメだと。

民岡:そうです。モチベーションやエンゲージメントといった「気持ち」の部分の要素があった上で、さらにそこに適した仕事が与えられることが大事です。「気持ち」と適切なジョブのマッチングの両方が必要なんです。

関:確かに所属している会社自体はいろいろな事業をやっているし、職種だってたくさんある。だけど、自分がやりたい仕事に就けているとは必ずしも限らない。そうなると社内で仕事を変えるのではなく転職しようとなりがちです。

SAPジャパンでHCMシステムに出会い、HRテクノロジーに目覚める

民岡:そんなわけで日本オラクルを辞めたのですが、実はその後少しブランクがありまして、福岡に移住したりお遍路をしたりしていたんですよ(笑)。

関:えっ! 相変わらず行動力がすごいですね。

民岡:充電期間にしかできないことをやろうと思いまして。結局、福岡には7年いて、ロースクールに通ったりもしたのですが、最終的に今後のキャリアを考えて東京に戻り、SAPジャパンに入社しました。そこで出会ったのが、社員のスキルを可視化して、個人の特性とジョブをマッチングするHCM(人事管理)システムです。そこで初めて、自分がオラクルを辞めてしまった理由が“ジョブとのマッチングがうまくいかなかったから”だと分かったんです。それが私にとってのHRテクノロジーとの出会いであり、ターニングポイントでしたね。

関:いつ頃のことですか?

民岡:2008年くらいですね。

関:それは早いですね! HRテクノロジーという言葉が盛り上がる前です。

民岡:そう。だからは当時の外資系企業のHCMの考え方は、まだ日本企業にはなかなか受け入れられないものでした。でも私はこのシステム(の思想)こそがこれからの日本の人事に必要だと考えました。

小巻/店長:続いてのお料理をお持ちしました。『静岡県産ジャンボマッシュルーム“ポットベラ”フリット』です。

民岡:これ、マッシュルームですか! 大きいですね。

小巻/店長:直径が8~10cmもあるマッシュルームです。もともとヨーロッパで育てられていましたが、それを日本でも栽培できるようにされた方がいまして、そちらからいただきました。

関:やはり秋はきのこですね!

小巻/店長:そんなきのこに合わせていただきたい飲み物は、まずオーストリア産の無農薬りんごを使ったジュースです。ワインも最近は亜硫酸の添加を減らしたナチュラルなものが増えていますが、当店ではジュースにもこだわっています。

民岡:これは嬉しいですね! 爽やかな甘さがきのこの香りやフリットの香ばしさとマッチします。

小巻/店長:ワインはカリフォルニア、ソノマのシャルドネ『アーサー・セラーズ』をご用意しました。実は日本人の桃井隆宏さんという方がお作りになっているワインなんです。

関:うん、柑橘や洋梨のようなアロマがあり、樽も上品ですね。とても高品質なシャルドネです。フリットとも当然、最高に合います!

小巻/店長:ぜひ先ほどの『渋谷チーズスタンドモッツァレラとイチジク』とも合わせてみてください。

関:これもいいですね! いろいろな合わせ方を楽しめます。

前編ではオラクルから始まった民岡さんの波乱万丈なキャリアと、HRテクノロジーとの出会いについて伺いました。後編ではIBMでのご経験と、現在の人事制度の課題と解決策について伺います。

今回のお店
あじる亭

赤坂見附駅徒歩2分。各地で修業を積んだシェフ達の本格欧風料理とソムリエ厳選の世界各国のワインが楽しめるワイン居酒屋です。取り扱うワインは400種以上。赤坂でもトップクラスの品揃えを誇ります。

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