コラム

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HR Techサービスが組織・人事そして経営にもたらす変革

はじめに

 HR Techのサービスは多岐にわたり、採用やタレントマネジメントをはじめ、人事評価、給与計算、勤怠管理、ラーニングマネジメント等さまざまな領域のサービスが提供されています。前回のコラムで紹介した”HR Technology Conference & Exposition”のような大規模イベントが世界各地で開催されており、その規模も年々大きくなっています。国内でもテクノロジーを活用した新しいサービスが増えており今後の組織・人事のあり方について避けては通れないテーマとなってきました。

そこで今回は、HR Techサービスが組織・人事にもたらす変革についてご紹介します。

1.人事データの一元化・分析

2.オペレーション業務効率化

3.組織活性化

1.人事データの一元化・分析

 HR Techサービスのなかには人事評価データと勤怠データのようなこれまでは異なる人事システムに格納されていた人事データをひとまとめにして可視化・分析することができるBI(Business Intelligence)ツールや機械学習を活用して予測ができるツールがあります。従来は各人事システムに格納されているデータはそれぞれのシステム内だけで活用されてきました。分析をする際も各人事データを分析することは比較的容易ですが、それぞれのデータを組み合わせて分析するには手作業でデータを統合しなければならず大きな労力がかかっていました。

 上記のような分析ツールは人事システムやデータが別々に分かれていてもAPI(Application Programming Interface)という異なるシステムのデータを連携・格納することができる仕組みを利用して簡単に統合して活用することができます。人事データが更新されるごとに分析ツールに過去のデータを登録し直す必要もないため、それぞれのシステムから最新データを取り込むだけで更新作業が済みます。ファイルの一部が破損している場合には画面上にアラートが表示されたり、確認が必要な箇所をすぐに特定することも可能です。

 退職率や人事コスト、研修受講率などの分析データをダッシュボード上でリアルタイムにモニタリングすることで人事に関するデータの見える化が実現されます。従来はそれぞれのシステムで確認する必要がありましたが単一のシステムで確認することや、業績と評価の相関関係など別々のシステムから抽出されるデータを複合的に分析していくことが容易になりました。そのうえ、ダッシュボード上に表示された注意が必要な指標について、即座に掘り下げ要因を絞り込みやすくなりました。退職や休職につながる情報を予測しモニタリングすることで、問題の早期発見と個別ケアが迅速にできることにつながります。

 分析やその先の予測のためのデータ収集や加工にかかる作業が大幅に減ることで、課題解決への打ち手策定や新たな企画業務に多くの時間を費やすことが可能になります。

2.オペレーション業務効率化

 人事上の手続きや承認といった労務管理業務は、人事担当者が日々時間を費やさざるを得ない定常的なオペレーション業務の代表例です。このほかにも評価や申請の催促、研修出欠確認等のイベントごとの負担も大きく、人材育成や組織開発などの創造的な業務に十分な時間をかける際の阻害要因となっています。

 HR Techサービスにはスケジュールやタスク管理を行うことで業務を効率化することができるツールがあります。例えば人事評価を実施する際は、評価者と被評価者、評価期日、評価シートを評価管理ツール上で設定しておくことで人事評価の通知や督促、人事評価結果の集計までを自動で実施することができるため、人事評価フローにおける人事担当者の定型的な業務負担が大幅に削減できます。

 また、オペレーション業務においては一般社員が自ら入力することを前提とした、直感的に操作できるユーザーインターフェースを有するサービスもあります。働き方改革の一環でもある働く時間や場所の柔軟性が求められるなか、社員が、スマートフォンやタブレットでいつでもどこでも業務を行える環境を整えることで、業務の利便性を高め効率化を図ることができます。

3.組織活性化

 社員がやりがいとやる気をもって働くことができる環境を整えるためにテクノロジーを活用する企業も増えています。有効求人倍率が上昇し失業率が低下していくなか、ますます優秀な人材を確保することが難しい状況になっています。そのため、社員の働きやすさや成長を考慮した環境を整備しながら生産性や収益性を高めることがより重要になっています。

 従来は人員配置をする際は人事担当者や管理職の経験に頼りがちでしたが、組織シミュレーションツールを活用して顔写真と個別データを一覧的に表示し、客観的なデータと組み合わせて社員一人一人の適性と能力を検証することで、ミスマッチのリスクを軽減し、理想に近い適材と適所構想することが可能になります。

HR Techサービスによって社員の仕事における成果や取り組みが可視化されることで上司は部下の実態を把握しやすくなり、具体的なフィードバックによる育成や業務改善につなげることができます。

例として会社目標が組織や個人の目標に落とし込まれ、個人が成果を上げると組織や会社目標にどれだけ寄与したかが目標管理画面上で反映される目標管理ツールがあります。他にもチェックイン機能を使って定期的に部下が上司に業務報告や成果報告を行って上司から部下へフィードバックを行うことができるパフォーマンスマネジメントツールもあります。

テクノロジーを活用して会社への貢献を可視化したり、部下が取り組んでいる業務に対するフィードバックを促進することで軌道修正を速やかに行ったり、社員の取組みを積極的に支援・承認することで、モチベーションアップにつなげることができるのです。

おわりに

社員の働き方や価値観がますます多様になり組織マネジメントが難しくなる中で、組織の活性化や生産性向上を実現するためにHR Techサービスは多面的に活用できるツールであるといえます。その有効活用においては、経営者から現場までがテクノロジーが従来のビジネスプロセスや業務の変革をもたらし、自らの役割の再構築が欠かせないとの意識をもって行動することが必要となります。

HR Techサービスを活用した変革を促進する組織と現状維持を選択した組織では、どちらが生産性が高く、競争力の強い組織となるのか、数年後には明白になるはずです。

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