コラム

コラム

コンサルタントが見たラスベガスで開催のHRテクノロジーカンファレンス最新事情 ~HR Tech Conference & Expo 2017 in Las Vegas~

こんにちは。セレブレインのHRテクノロジーコンサルタントの加藤雄平です。

2017年10月10日~13日の4日間、アメリカのラスベガスで世界最大級の人事テクノロジ―展示会”HR Technology Conference & Exposition” (以下HR Tech Conference)がありました。今年で20年目を迎える大イベントに私も参加してきました。

年々日本国内でも盛り上がりを見せるHR Tech領域ですがアメリカにおけるスケールはその何倍も大きく終始発見の連続でした。本イベントの開催日程は4日間、HR Techに関わるスタートアップ企業から世界を代表する企業まで約350社がブースを出展し多数のセミナーやセッションが開催されました。

 

一口にHR Techと言ってもカバー領域は多種多様で、パフォーマンス、ラーニング、エンゲージメントサーベイ、タレントマネジメント、ピープルアナリティクス、社員間コミュニケーション、採用支援、勤怠・就業、報酬管理等合計20以上の領域のサービスが集結していました。

そのような最先端のHR Techサービスがずらりと並ぶ貴重なイベントで経験したことを3つご紹介いたします。

1.トレンドの移り変わり

近年日本国内で注目されているHR Techサービスは採用支援・管理やタレント管理などのいわゆるマネージャ―をターゲットにしたツールが主でした。しかし現地では、それらに加えレコグニション(従業員の相互の働きぶりを認めて伝え合うもの)、オンボーディング(内定者を入社までの間サポートするもの)などの従業員をターゲットにしたエンゲージメントを高めるツールに注目が集まっております。

日本でも採用が難しくなっており特に優秀で専門領域をもつ人材を確保することが重要視されております。中途採用に力を入れるだけでなく、組織内にいる人材を効率よく育て上げ、身につけた力で組織に最大限貢献してもらえるように環境を整えることが今後のトレンドになりつつあります。

デジタル化が進み、また働き方の多様化により直接的なコミュニケーションが減りつつある今の時代だからこそ、コミュニケーションを活発化・円滑化するツールは特に需要があるのだと思います。

2.圧倒的なビジネススピード

 特にスタートアップ企業のスピード感と柔軟性は見習うべき点がいくつもありました。例えばUberやAirbnbに代表されるITサービスを提供する外資系企業の展開の早さは破壊的とも言うべきでしたが、まさにその要因ともいうべきリソースの選択と集中を目の当たりにしました。優秀なディベロッパーを多数確保することを最優先して営業やマーケティング担当の確保は後回しにして割り切っている企業も少なくありませんでした。

また、コミュニケーションスピードが抜群に早く、こちらの要望に対してイエスノーがはっきりしていることが印象的でした。短時間の会話の中で論点を正確につくことで密度の濃い情報を交換しており、まさにネットワークを瞬く間に拡大している様子を垣間見ることができました。

カンファレンスセンター内には下の写真のようなスタートアップ企業が集合するパビリオンがありました。エッジの効いたサービスが多く、例えば採用ツールで出身、学歴、職歴等が採用企業側から見えないまま、候補者のスキルや人柄のみで最終選考の前段階まで選考を行えるものがありました。これは経歴によるバイアスを防ぎスキルマッチやカルチャーフィットを判断するという観点では有効です。このスタートアップパビリオンにいる企業が翌年のHR Tech Conferenceで大きくて目立つブースを構える企業に成長することも例年あるそうで圧倒的な成長を予感させる企業も少なからずありました。

3. 品質向上への貪欲さ

 ブースを回っていると類似したサービスを提供する企業が多く、また担当者が競合との差別化ポイントを重点的に説明していたことからHR Techサービスがいかに群雄割拠であるかを思い知らされました。自社サービスの長所と短所を正確に捉えたうえで、短所を克服するための工数まで説明してくださる企業もありました。さらにサービスのデモンストレーションを見せながら自社サービスの改善すべき点を尋ねられることもありました。

従来、日本ではソフトウェアのアップデートは年に一度か二度という企業が多かった印象ですが、今回のHR Tech Conferenceへの参加企業は月に一度のペースでアップデートされており中には隔週で行っている企業もありました。この貪欲さこそが破格の資金調達や数年で規模を急拡大する原動力であると思います。

彼らのスタンスには「海外だから・・・、日本だから・・・」ということはなく成功するためには前のめりに改善の余地を探して改善し続けることが必要な姿勢であると改めて学ばせてもらいました。

まとめ

 今回のHR Tech Conferenceへの参加は最先端のHR Techサービスやトレンドに触れるだけでなく成功し続けるためのマインドセットも学ぶことができる貴重な体験となりました。日本においてもデジタル化が加速度的に進み、人々の働き方や価値観が多様化する中でそれに伴い人事のミッションも変わりつつあります。今後バックオフィスとしてオペレーション業務をこなす従来の役割から経営判断に必要なインテリジェンス部門、戦略指南、舵取りのための情報提供等の役割への移行が進むことが考えられます。個人の経験や勘に頼るだけでなくデータに基づく客観的な視点で解決を図ることが望まれます。日本も人事部にデータアナリストが必要となる時代の入り口に差しかかっていると思いました。

次回はHR Techの種類やトレンド、注目のサービスについて詳しくご紹介いたします。

前のページ
次のページ

最新記事

タグ

日本初 実践型トレーニング アナリティカルシンキング
人事と組織に役立つ最新情報を月1回配信 メールマガジン登録はこちら

お問い合わせ