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コラム

宮澤 恵一

宮澤 恵一

ハッピーリタイアメントの形

ハッピーリタイアメントの形

(1)シニアAさんのケース:

60歳で定年退職したシニアAさんの話です。すでに子供たちは独立、家のローンも返済が終わり、退職後は長年の多忙な仕事から解放され、趣味の釣りを楽しみながら悠々自適な生活を送ろうと考えていました。

最初の内は新しい生活をエンジョイしていましたが、次第に趣味もマンネリ化、家にいても煙たがれるようになり、その結果、日中は近場の公園、図書館、ショッピングセンターなどをあてもなく回遊する日々を送っています。

定年時の退職金で老後の心配はないはずでしたが、年金を受領できるのはしばらく先で、毎日貯金が目減りしていく生活は、精神的にも大きなストレスとなっています。以前は大手メーカーの技術系管理職として活躍していましたが、現場の技術から遠ざかっていたため、新たに技術の仕事を探すには自信がなく、かといってまったく経験のない仕事にチャレンジする覚悟もできていません。当初思い描いていたハッピーリタイアメントからは程遠い状況に陥っています。

(2)シニアBさんのケース:

定年前に早期退職制度を利用し、58歳で退職したシニアBさんの話です。大手通信係の会社で管理職を歴任後、関連会社の経営幹部として手腕を発揮していました。60歳を前に永年勤続した会社を辞め、以前から望んでいた人生計画に沿って日々活動しています。現職時代からの社外ネットワークや人脈のおかげで数社から顧問の依頼を受けています。その一方で趣味の音楽仲間とのイベントにはじまり、ゴルフ仲間とは堂々と平日ゴルフを楽しみ、夜のお付き合いも盛んです。さらに英語を学びなおし、AIなどのセミナーにも積極的に参加しています。「会社勤めの時より忙しい」と笑いながら、これまで経験できなかった分野の勉強や体験が楽しくて仕方がないようです。

今、日本の働く環境を見回すと「一億総活躍社会」、「女性が輝く社会づくり」、「働き方改革」、「70歳定年」など政治主導の言葉が躍っています。それぞれの意図や実態はともかく、認識しておく必要があるのは、将来受け取る年金の財源が決定的に不足しているという現実です。

少子・高齢化の一方、シニア・シルバー世代が加速度的に増加する現状では、年金受給年齢を引き上げ、年金支給額の引き下げは必然となります。ハッピーリタイアメントは、定年退職後も何らかの仕事に就くことを前提に設計しないと成り立たちません。

(3)社会環境の変化に適応する責任:

これからの人生100年時代、従来よりも長期化する人生では、退職後も仕事に就くことを踏まえ、いかにハッピーリタイアメントを実現するかを考える必要があるのです。

マクロの視点でも社会・経済の環境は劇的に変化しています。グローバル化の波がボーダレスな人、モノ、お金、情報の流れにつながり、価値観も多様化しています。

テクノロジーの分野では、IOT、AI(人工知能)、ロボット、自動運転などの進化により、現在、人が携わる職業のうち半数近くが、代替されるとの調査もあります。このような状況であるからこそ、企業は社員の将来設計にも適切な支援を行う責任があり、個々の社員も自身のハッピーリタイアメントの在り方について早い段階から準備をしておくことが不可欠となるのです。

(4)企業の具体的な取り組み:

企業も、社員のハッピーリタイアメントが可能となる支援策を、人材配置、人材開発、雇用契約・労働条件等の多面的な視点から、例えば以下のような施策で機会提供していく必要があります。

  1. キャリア面談
  2. キャリアデザイン研修
  3. 選択型研修
  4. 先進的思考・テクノロジーなど社外研修費用補助
  5. 社内公募、社内FA制度、新規事業提案制度
  6. キャリア相談窓口の設置
  7. 副業承認制度

制度面とは別に、マネジメントやリーダーシップのスタイルといったソフト面の見直しも必要になってきます。事業環境の変化と進化が進む中で企業のコア人材であるビジネスリーダーは、これまでのKKD(経験と勘と度胸)やロジック重視の思考だけでなく、組織内外のビッグデータを整備し、AIなどの技術を活用して解決すべき課題を明確にし、全体構造を把握して意思決定を行うアナリティカルな思考プロセスが必須のスキルとなります。

 

事業環境の変化を先読みし、AIからの情報を検証して最終的な判断を下すのは人です。人の可能性を尊重し、人の成長に投資することが組織と事業の成長につながります。

セレブレインでは、コンサルティングファームや事業会社において先進的な人事政策を推進してきたコンサルタントチームが、企業によるハッピーリタイアメント政策への取り組み支援やAI時代におけるビジネスリーダーに必須の「アナリティカルシンキングトレーニング」を開催し好評をいただいています。これからも個々の企業の実態や状況に即して実効性のある提案してまいりますので、よろしくお願いいたします。

http://training.celebrain.com/analytical-thinking/

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