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アルムナイ採用が注目される理由と最大限活かすためのコミュニケーションを解説

アルムナイ採用が注目される理由と最大限活かすためのコミュニケーションを解説

近年は、一度企業を退職した優秀な人材を貴重なリソースとしてとらえネットワークを構築し、再雇用につなげる「アルムナイ採用」に取り組む企業が増えつつあります。

アルムナイ採用はミスマッチが少ない、採用コストが低い、外部で多様な経験をつんだ人材に活躍してもらえるなどのメリットがあります。今回はアルムナイ採用が注目される理由とアルムナイを活かすコミュニケーションについて解説します。

アルムナイとは?注目される背景

アルムナイとは英語で「alumni」と表記され「卒業生・同窓生」を意味します。転じて、ビジネスでは企業の離職者やOB・OGの集まりを指します。海外では離職者のネットワークを築き、コミュニケーションをとることで再雇用につなげる「アルムナイ制度」は一般的になっています。

日本でも、一昔前こそ離職者へのネガティブなイメージがありましたが、転職に対する人々の意識の変化、企業の成果主義へのシフト、人口減少による採用市場の競争激化を背景に、アルムナイを貴重な人材資源ととらえる企業が増えています。

事例としてはアクセンチュアなどの外資系企業はもちろん、住友商事、NTT西日本、みずほ銀行、IT企業のサイボウズ社など大手企業の取組みも目立ちます。近年で特に象徴的だったのはパナソニックの事例だと言えるでしょう。
一度は退職してマイクロソフトなどのCEOをつとめた樋口泰行氏を、2017年に代表取締役兼専務役員として招き入れ「異例の出戻り人事」と話題になりました。変革の時代には外部で経験を積み、社内に新しい風を吹き込める人材が必要という考えからです。

アルムナイが注目される4つの理由

アルムナイが注目されている理由は以下の4つです。

・終身雇用制度の崩壊による人材の流動化
バブル崩壊、リーマンショック以降、日本企業は終身雇用を維持することが困難になり、人件費削減のために早期退職者を募る一方、競争力を高めるために専門性の高い人材を採用するようになり、人材の流動化が進みます。

・働き方への意識変化と多様化
人々の価値観も変化しフリーランスやパラレルワークなど多様な働き方が増えています。特に若年層は自身の成長のために「転職」する傾向があり、企業が優秀で若い人材を雇い続けることが以前より難しくなっています。中途採用の転職マーケットも拡大し続けており、優秀な人材の確保は企業における課題となっています。

・採用のミスマッチが起こりにくい
優秀な人材を採用しても社風や業務慣習になじめず離職するケースは少なくありません。アルムナイは企業風土や業務スタイルを承知してカムバックするためミスマッチを引き起こしにくく活躍が期待できます。既存社員も純粋な中途採用者より出身者を受け入れやすい面があるでしょう。

アルムナイの導入ポイント

導入ポイントは以下の4つです。

・再雇用のための条件
再雇用するための必要スキル、在職期間などの基準を明確にします。「辞めてもすぐ戻れる」と安易な印象を持たれないように注意しつつ、できるだけ門戸を広く設けることが重要です。

・退職時のコミュニケーションを最適化
退職時に良いイメージを持ってもらうことが大切です。退職後のステップアップ支援制度、再雇用する制度があることを丁寧に説明し、戻ってきても良いのだというメッセージを伝えます。
また、アルムナイ制度が社内に周知され、退職が決まった社員を気持ちよく送り出す必要が生じることで、退職予定者がいても社内の雰囲気が悪化しにくくなるなど、退職をとりまく社内風土の改善にも役立てることができます。

・離職者との関係を維持する定期的なコミュニケーション
メールマガジン、イベント、SNSなどを活用し退職者とのコミュニケーションがとれる仕組みを作ります。あくまで外部の人材なので社外秘の漏洩には注意します。
アルムナイネットワークの構築が成功している企業では、採用だけでなく、取引先として付き合いが広がったり、外部の視点を取り入れる機会に繋がったりと、副次的な効果が生まれているようです。

・受け入れ体制を整える
アムルナイの採用に一部の社員が良いイメージを持たないこともあります。全社員に制度を周知するとともに、カムバック前に配属先の上司との面談、同僚とコミュニケーションをとる機会を設けるなど受け入れ体制を整えます。
実際にアルムナイ社員がきちんと受け入れられている状況を目にした社員は、その後退職しても、戻ってくる心理的ハードルが下がるため、アルムナイ採用に好循環が生まれます。

まとめ

近年は一度退職した社員を再び雇用するアルムナイ採用に取り組む企業が増えています。変化の激しい時代、優秀な社員が多様な経験をつんで成長してもどってくれることは企業にとってプラスです。

前向き転職が多い時代には離職者の中にも出身企業にエンゲージメントを持ち続ける社員は多いため、SNSやイベントなどを活用しアルムナイとコミュニケーションをとっていきましょう。

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