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マネージャーの「課題」に対してAIボットがアドバイス

マネージャーの「課題」に対してAIボットがアドバイス

近年はダイバーシティが進み、多様な人材が働く環境でマネジメントを担っている現場のマネージャーをサポートすることも人事の役割として期待されています。このような状況に対してHRTech領域の市場は大きく成長しており、このような人事業務の一部を担うAIツールの活用も増えつつあります。今回は、現場のマネージャーをAIがサポートするHRTechサービスについて紹介していきます。

AIがマネージャーのコーチングをするHRTechサービス

マネージャーの役割は事業成長への貢献から人材マネジメントまで幅広い領域にわたります。近年は部下の属性、価値観が多様化しているためマネジメントは高度化、複雑化し、これまでより高度なスキルが必要です。
しかし、マネジメント手法は属人的になりやすく、経験とともにスタイルが固定化する傾向があり、多くのマネージャーにとって昨今の環境でのマネジメントは困難になってきています。
近年はマネージャーの課題にAIがコーチングしたり、適切なマネジメントについての示唆を与えたりするHRTechが登場しています。ここでは「The Next Great HRTech Company」のファイナリスト『Butterfly.AI』を紹介します。

AIがマネージャーのサポートを行うButterfly.AI

『Butterfly.AI』は以下の流れでマネージャーをサポートします。

  1. サーベイを自動で行う
     Slackなどのチャットツールで簡単な匿名アンケートを毎週実施。以下5項目を評価。

    • Roles and Responsibilities:役割と責任
    • Work / Life Balance:ワークライフバランス
    • Management:マネジメント
    • Team Work:チームワーク
    • Workplace:職場環境
  2. 組織状態をリアルタイムで把握
    アンケート結果のスコアがダッシュボードにリアルタイムに表示され、マネージャーは推移を見ることで変化が生まれた要因を特定しやすくなります。メンバーとのチャットも可能です。
  3. マネージャーの課題に対して、AIが解決策を提案
    AIが課題解決のための情報をマネージャーに提示。情報にはYouTubeの動画やTEDTalkの講演、Butterlyオリジナルコンテンツ等が含まれます。マネージャーが学びを深めた上で個々に最適なアシストを行うため組織エンゲージメントの向上が期待できます。

HRTech領域におけるAIの活用

HRTech領域でAIを活用している他2例を紹介します。

「Oracle HCM Cloud」-オラクル
採用の際に、履歴書や過去に採用した従業員データからAIが「誰を採るべきか」を判断。応募者リストに優先表示します。従業員が一定期間昇給しない場合、アラートとともにパーソナライズされた研修やキャリアプランの案をマネージャー・人事に通知します。

「AI タレント・アラート」「AI エンゲージメント分析」-IBM
IBMは昇進候補人材、離職の可能性が高い従業員、ノルマ未達成のリスクがある従業員をマネージャーに通知する「AI タレント・アラート」や、社内SNSを分析する「AI エンゲージメント分析」など、人材マネジメント全体に自社AIを活用しています。

AI活用の注意点

『Butterfly.AI』の開発者は、HRTech領域におけるAIの強みは「重要だが時間を割きたくないことを人の代わりに行う点」にあるとしています。
IBM社はAIの活用について「マネージャーにアクションを指示するために AI を利用してはならない。分析結果を共有することで、本人の意思決定を促すのです。彼らが持つ、従業員やチーム運営に関する知識、共感が、最適な意思決定には必要不可欠です。」と警鐘を鳴らしています。
外資系IT企業ではHRTech領域でAIの活用が進んでいますが、決してAIに依存しているわけではなく、あくまでマネージャーが正しい意思決定をするためにAIを活用していることに留意しましょう。

まとめ

近年はHRTechの進化により業務の効率化だけでなく、最適な人材の採用や教育、昇進の判断などにもAIの分析を活かせるようになってきました。
しかし、現実のマネジメントにおいては「わかること」「仮説を立てること」と「実現できること(チームメンバーのモチベーションを高めて目標を達成)」「納得してもらうこと(腹落ちしてもらうこと)」の難易度の高さはかなり異なります。
AIに依存しすぎることなく、AIの分析やレコメンドを活用して、より最適な意思決定をするマインドセットを持つことが望ましいと言えるでしょう。

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