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倉本 健

倉本 健

ヘッドハンティングの成功と不成功を分けるもの?

ヘッドハンティングの成功と不成功を分けるもの?

 先日、「ヘッドハンター」というTVドラマが最終回を迎えました。

企業のビジネス課題と人のキャリアと転職への葛藤がテーマであり、放送が遅い時間帯ということもあって、平均視聴率は必ずしも高くなかったようですが、ビジネスマンの間ではかなり話題になっていました。

海外では、エグゼグティブ層を中心にした人材の獲得手段であるエグゼクティブサーチコンサルティングと呼ばれるヘッドハンティングとはそもそもどういう手法なのでしょうか?

最近、日本でも「ヘッドハンターからスカウトメールが届く」という転職サイトもでてきているように、ヘッドハンティングという言葉が日常的に使われるようになっています。

急速に進む市場環境やテクノロジーの変革に対応するため、多くの企業で事業構造の見直しが進む中、以前は、エグゼクティブ層が中心であった依頼案件が最近ではミドルマネジメント層や特定のスキルセットを有した人材へと対象が拡がってきています。

ヘッドハンティングという言葉の意味を調べてみると、次のように具体的なプロセスで説明がなされています。

「特定の経営課題に対して社内に解決できる人材リソースが不在であった場合、この課題解決をするために必要な経験や能力を有した外部の適当な人物を特定し、より良い給与や役職、機会を提示し、引き抜きを行うこと」

つまりヘッドハンティングとは

  • 経営課題の特定を行い
  • 人物を特定し
  • より良い機会を提示し
  • 引き抜く

そして、特定の経営課題を解決したい企業に代わって、この一連の作業を行う人をヘッドハンターと呼びます。ドラマ「ヘッドハンター」では、ストーリーが誇張されている点はありましたが、部分的には実際のヘッドハンティングのシーンをリアルに描いていたと思います。

さて、ではこのヘッドハンティングをいかに成功させるか?

ポイントは色々とありますが、失敗しやすいケースが最初のステップである「経営課題の特定と明確化」 です。

これは採用活動、特に即戦力を求める中途採用を行う場合に共通している課題と思います。

採用すべき人材の要件を明確にするには、まず「どのような経営課題をどのように解決したいのか?」が具体的になっていないと採用活動が円滑に進みません。

私たちがまず行うのは、クライアント企業が抱える問題認識や課題を出来る限りブレイクダウンし、具体化するお手伝いをすることです。その過程で新たな課題を発見し、要件の見直しを行うことも多くあります。

実際にお手伝いしたA社の例でいえば、当初の依頼は・・・・

「西日本エリアの販売力を強化できる幹部クラスの人材を探してほしい・・」でした。

これだけではA社が求める適任者を採用することは難しいでしょう。

必要なことは、事業、組織、人などの課題を具体化することで適任者の人材像を明確にし、共有することです。

  • 西日本営業部門を統括、その中で特にポテンシャルの高い代理店チャネルを強化し、売り上げ拡大を図る責任者として活躍を期待。
  • そのため地域の主要代理店の経営者との連携を強化し、代理店としての営業戦略から販売促進活動まで一体となって推進する。
  • 現営業体制の営業マネジャー3名を含む20名から30名程度に体制を拡大強化し、営業戦略の浸透を図り、売上を3年で2倍に拡大させたい。
  • 売上拡大施策の一環としてマーケティング部門、商品開発部門と連携して当該地域特性に合わせた高収益商品を投入する計画。

・・・・・などと、出来る限り具体的に落とし込んでいき、人物的な要素についてもコンセンサスを図っていきます。

当然ながら経営課題は上記例にある営業部門の課題だけでなく、経営、財務、事業承継、新規事業、M&AやIPO戦略、海外進出など多様です。まずはそれらの経営や事業推進における課題を具体的な項目に落とし込む作業を行うことで、本当に社内に適任者が不在なのか?社外に人材を求めるとしたらどのような要件を満たした人材が適任か?どこに適任人材がいるのか?を明らかにする事が可能になり、課題の早期解決につながります。

この作業は、私たちが人材サーチ(ヘッドハンティング)の依頼をお請けする際、最も重視しているプロセスの一つです。

トップエグゼクティブクラスのヘッドハンティングの場合は、個別に要素が異なりますので現場を巻き込むことはあまりないと思いますが、中堅以上のマネジメントレベルの採用においては、採用プロセスを経営課題解決のプロジェクトとして捉え、採用候補者が現場と深くかかわる場合には、事前に現場レベルの関係者も交えてコンセンサスを取っておくと、 候補者のターゲットリサーチをする際にも現場から有力な情報を得る事ができるなど、その後のプロセスがスムーズになります。

実際の担当したプロジェクトにおいても、クライアント企業の管掌役員が自ら社内に採用プロジェクトへの理解と賛同を得つつ、ヘッドハンターも参加してヒアリングと情報収集を行った結果、数十名の有力な候補者情報を得る事ができました。私たちが候補者とコンタクトを図る際にも自信をもってプレゼンテーションとアピールすることが可能になり、プロジェクトは大きな成果を上げる形で終えることができました。

もちろんヘッドハンティングの成功には、クライアントと候補者の双方にとってWin-Winの状態であることが不可欠です。クライアントサイドの課題を具体化すると同時に、候補者の将来キャリアについての課題を明らかにするプロセスも一層重要になります。

例えば、仕事の内容、勤務地、ポジション、将来性、職場風土、価値観、処遇、家族、家・・・・など人材固有の課題や不安要素を解消するプロセスも慎重に進める必要があることは言うまでもありません。このあたりが一般の公募や登録型の採用に見られるミスマッチが少ない理由であり、決定的に異なる点といえます。

クライアントサイドも候補者にとっても、最初に課題を具体化し明確化するという最初のボタンを掛け違えてしまうと、後から軌道修正が困難になり、プロジェクトの長期化や不成功に終わる確率が高まります。

クライアントがヘッドハンティングを依頼するケースは、経営における重要度や緊急度が高い状況に置かれている場合と想定されます。前述のプロセスも経営課題解決の重要なプロジェクトとして取り組めばヘッドハント成功の確率が大きくアップすることは間違いありません。

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