人事施策 2020年9月16日 「ピープルアナリティクス」と「タレントマネジメント」との違いとは 近年は経営目標の達成に向けて、「人事を科学する」試みに取り組む企業が増えています。人事担当者の“経験”と“勘”に頼るのではなく、最新のテクノロジーを活用して人事データを分析することで、実際にどのような効果が期待できるのでしょうか? 今回は、人材データ活用における注目キーワード「ピープルアナリティクス」と「タレントマネジメント」について解説します。 [目次] 「ピープルアナリティクス」とは 「タレントマネジメント」とは まとめ 「ピープルアナリティクス」とは 「ピープルアナリティクス」とは、社内に存在する人材に関するデータを収集・分析し、統計的アプローチやエビデンスに基づいて、人材の採用・配置・評価ほか人事施策の意思決定を行っていく概念および取組みのことを指します。 ピープルアナリティクスという言葉を最初に使い始めたのはGoogleだと言われています。昨今、「心理的安全性」という言葉を耳にした方は多いと思います。これは、実はGoogleが「プロジェクト・アリストテレス」と名づけた社内調査において心理的安全性が生産性を左右する指標の5つのうちの1つであると解明したことがきっかけです。 社内の人事データを分析することで、今まで大きな成功要因と見なされていなかった新たな指標を導きだし、多くの経営者やマネージャー層に示唆を与えた事例です。Googleはピープルアナリティクスの定義を、「経営面で確率的な利点を得るために人材マネジメントに統計学と行動科学を体系的に応用すること」としています。 ピープルアナリティクスで扱う人材データは、性別や年齢という基本的な情報に留まりません。個々の従業員のスキル、行動、成果、キャリアプラン、従業員間の相互作用まで多岐に渡ります。 そのため、ピープルアナリクスは一般的な人事業務だけでなく、人材に関するさまざまな人事施策をデータによって客観的に捉えて判断し、その有効性を評価し、改善につなげることに役立ちます。 人事戦略上の難しい課題解決や大きな意思決定を迫られた際にも、豊富なデータを分析して得られたデータをもとに意見を出し合うことで、よりより解決策や判断基準を導き出せるようになります。 【活用領域例】 ●人材の採用、配置、育成 ●人事評価、人材の抜擢 ●離職理由の分析と改善 ●職場開発、組織改革 他 「タレントマネジメント」とは 一方、人事データを活用すると聞くと「タレントマネジメント」をイメージする方、実際に活用している方も多いと思います。 タレントマネジメントは、1990年代に欧米で生まれた概念です。日本では2010年代から注目を集めました。多くの企業が少子高齢化による労働力人口の減少や、働き方改革の推進による人的資源の活用に課題を抱え始めていたからです。 タレントマネジメントは、従業員の人材データを一元管理して可視化することで、人材開発や適材適所の人員配置・育成を行うことをさします。 一般に従業員のスキル、適性、ポテンシャルは入社何年かたつと変化しますが、その情報はブラックボックス化しがちです。仕事や上司との相性、本人の努力で大きく成長しているケースもあればその真逆のケースもあります。いずれにせよ、現場以外の人からは全体像が把握しづらい課題が出てきます。 タレントマネジメントシステムを活用して人材情報を一元管理し、リアルタイムに可視化することで、より戦略的な人材配置(リーダー候補の抜擢、適性を活かす人材配属)や、個々の従業員のスキル・潜在能力を伸ばすキャリア支援が可能になります。 まとめ 「ピープルアナリティクス」は、経営目標を達成するために人材データを収集し統計的アプローチに基づいて人と組織課題に向きあう概念です。人事を科学する「アプローチ手法」とも言えます。 「タレントマネジメント」は人材情報を一元管理・可視化することで、採用や配置、育成などの人事マネジメントを最適化する考え方です。タレントマネジメントシステムを活用する際も、ピープルアナリティクス的アプローチを取り入れることで、より有効な意思決定をすることができるでしょう タレントマネジメント ピープルアナリティクス
人事施策 2020年9月09日 従業員との永続的な関係を実現する! 「エンプロイー・エクスペリエンス」とは? 少子高齢化による労働力人口の減少により、多くの企業が「優秀な人材の採用や定着」に課題を抱えています。近年、この課題の解決策として従業員との永続的な関係構築を目指す動きがあります。 今回は、企業と従業員の関係構築にあたり重要なキーワード、「エンプロイー・エクスペリエンス(Employee Experience)」について解説します。 [目次] 「エンプロイー・エクスペリエンス」が求められる理由 「エンプロイー・エクスペリエンス」を高める取り組みに必要な手法 エンプロイー・エクスペリエンスをデザインする際の注意点 まとめ 「エンプロイー・エクスペリエンス」が求められる理由 エンプロイー・エクスペリエンスとは「従業員満足度」や「エンゲージメント」といった 指標を超えた概念です。入社前、採用プロセス、研修や仕事、評価や異動、退職など企業と従業員が関わる全てのプロセスから個人が得る経験価値を意味します。 背景にはマーケティングの考え方があります。企業は優れたカスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)を提供することで、生産性はもちろんSNSを通じた評価の拡散によるブランド力向上などさまざまな恩恵を得ることができます。同様に従業員に価値ある体験を提供していくことが企業の成長につながるという考え方です。 エンプロイー・エクスペリエンスはデロイト トーマツ コンサルティング合同会社の「2017 デロイト グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド」において、テクノロジーの発展にともない企業が取り組むべきテーマの一つとして取り上げられ、世界的に注目されました。2019年の同レポートにおいては、『すぐれたEE(Employee Experience)を提供している上位25%の企業は下位25%と比べて2倍のイノベーション、2倍の顧客満足度、25%の高い利益率を達成している』というMITの調査結果も紹介されています。 企業業績との相関関係が実証されつつあることから、今後はますます企業の関心が高まっていくことが予測できます。日本でも働き方改革が進むなか、エンプロイー・エクスペリエンスの向上に取り組むAirbnb, Inc. や freee株式会社 などの事例がメディアで取り上げられるようになりました。 「エンプロイー・エクスペリエンス」を高める取り組みに必要な手法 エンプロイー・エクスペリエンスを高める取り組みに有効な2つの手法を紹介します。 まず1つ目は「エンプロイー・ジャーニーマップ」の作成です。 エンプロイー・ジャーニーマップとは人と企業との出会い、就労期間、退職後までを体系立ててデザインする手法です。企業は自社が求める人材がどういった経験価値を求める人物か? 世代、職歴、キャリアビジョン、個人の興味・関心などを明確にする必要があります。マーケティングの「ペルソナ設定」と同じ手法です。 人物像は複数設定し各々に提供できる経験を整理したうえでジャーニーマップに落とし込みます。企業で経験する事柄に付随する個人の思考・感情もマッピングし、エンプロイー・エクスペリエンスを高める施策まで記載します。 そして2つ目は「eNPS(Employee Net Promoter Score)」による評価です。 eNPS(Employee Net Promoter Score)とは、「この会社で働くことを友人や知人にどの程度勧めたいですか?」という質問をする調査ですが、仕事や企業への愛着や満足度など従業員エンゲージメントを数値として把握できるため、取り組みの検証・改善に役立ちます。 エンプロイー・エクスペリエンスをデザインする際の注意点 前述のレポートでは、多くの企業のエンプロイー・エクスペリエンスの取り組みが「組織主導」「トップダウン型」の発想で進められており、改善の余地が大きいと述べられています。 エクスペリエンスのデザインにあたっては、「働きがい」や「キャリアビジョン」といった個人の働く意義がどう職場経験と結びつくかという「個人目線」を持つことが重要です。 まとめ 企業が持続的に成長するためにはエンプロイー・エクスペリエンスの向上が鍵を握っています。「エンプロイー・エクスペリエンス」の向上に努めることで従業員エンゲージメントが向上すれば、顧客満足度や企業収益などにもプラスの影響が期待できます。 eNPS エンゲージメント エンプロイー・エクスペリエンス エンプロイー・ジャーニーマップ
人事施策 2020年8月26日 アフターコロナで採用はどう変わるか 新型コロナウイルスの影響により大きな転換期を迎えた日本の採用市場。2020年は当初予定されていた合同説明会や学内企業説明会が新型コロナウイルスの感染蔓延により中止となり、3月の緊急事態宣言発令以降、多くの企業は採用計画の見直しを余儀なくされました。採用活動のオンライン化は急速に進み、現在もさまざまな手法が模索されています。 本記事では、採用市場の変化と新しい採用活動の取り組み事例を紹介します。 [目次] 今後も加速する採用のオンライン化 採用活動の最新事例 まとめ 今後も加速する採用のオンライン化 株式会社ビズリーチの調査では、2020年4月時点で7割の企業が採用活動のオンライン化を対応・検討し、6割以上が「メリットがある」と回答しています。株式会社マイナビの3月の学生モニター調査では、会社説明会のオンライン化を求める学生は9割近く、一次面接までオンライン化が望ましいと考える学生が7割以上と、オンライン化は企業にも学生にも評価されています。新型コロナウイルスの第2波・第3波も懸念されるなか、採用活動のオンライン化はさらに加速するでしょう。 ・22年卒以降の動向予測 21年卒の新卒採用計画は、1月〜2月に予定していたインターンシップも軒並み中止、3月からの合同企業説明会、学内企業説明会も中止となり、これまで導入率の低かったオンラインによる説明会・面接が一気に普及しました。 この流れを受けて、22年卒の採用活動ではさらにオンラインへシフトする企業が増え、その活用方法にも企業独自の工夫が生まれてくるでしょう。また、オンラインと対面のそれぞれのメリット・デメリットを経験し、双方の良さを生かした、いわば「ハイブリッド」で採用活動を行う企業の割合が高くなると考えられます。 ・求められる採用活動の再設計 企業の多くが次年度に向けて採用活動の改善を検討する必要に迫られるでしょう。対面で有効な説明会や面談はオンラインでは効果を発揮しないことも多く、オンラインと対面それぞれの特性を把握した採用活動の再設計が必要だからです。 採用活動の最新事例 採用トレンドに合わせた設計・戦略の中では、オンラインでこそ訴求する魅力的な採用コンテンツを提供できるかどうかが、活動の成否を分けることになります。4件の最新事例を紹介します。 ・事例1: オンライン座談会 会社説明会の直後に社員と学生が気軽に話す「座談会」をオンラインで行うケースが注目されています。ZOOMの「ブレイクアウトセッション機能」などを活用し参加者画面を分割することで、双方向コミュニケーションを実現します。 ・事例2:録画面接 企業があらかじめ設定した質問に対して応募者が回答や自己PRを自分で撮影・録画して、企業に送信する面接手法です。面接日の調整が不要であり、全ての応募者に同じ質問内容の面接ができるためフラットな判断ができるメリットがあります。 ・事例3:バーチャル職場見学・工場見学 動画でのバーチャルな「オフィスツアー」や「工場見学」が注目されています。アスクル株式会社は本社内の全景や細部が360°見渡せるVR動画をアップしてスタイリッシュなオフィスの強みを訴求しています。某地方メーカーはオンライン工場見学を取り入れ、技術者の作業シーンなどを訴求することで県外からの参加申込を増やしています。 ・事例4:オンラインインターンシップ IT企業や大手メーカーを中心に、オンラインで完結するインターンシップが注目を集めています。企業がミッションを設定し、学生が課題をクリアして先輩社員からフィードバックをもらう手法が主流です。企業によっては、オンラインインターンシップ参加者をリアルな職場交流会に招待したり採用選考で優遇するなど、リアルな活動とどう連携させるかがポイントになるでしょう。 まとめ 新型コロナウイルスの影響により、期せずして企業も学生も採用のオンライン化のメリットを知ることになりました。今後はますます本格的に採用のオンライン化に取り組む企業が増えるでしょう。最新事例から学び、アフターコロナの採用活動を勝ち抜いていけるように、準備を進めていきましょう。 Aftreコロナ withコロナ アフターコロナ オンライン 人材採用 新型コロナウイルス
人事施策 2020年8月19日 DXの実現に必要な人材とは(後編) DX(デジタル・トランスフォーメーション)の実現にはIoTやAIなど最先端のデジタル技術を活用し、市場の変化にあわせてビジネスモデルを変革したり、新たな価値を創出できる人材を確保することが急務です。 今回は、DX人材を採用する際のポイントとDX人材の育成方法について解説します。 [目次] DX人材の採用手法と採用時の注意点 DX人材育成のキーワード「Reスキル」と「リカレント教育」 まとめ DX人材の採用手法と採用時の注意点 独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)は、2019年、IoTやAIを活用したITサービス市場に従事する先端IT人材の転職方法についてアンケート調査を実施しています。 調査結果では、最先端の技術を持つIT人材の転職方法は「友人・知人等の紹介」や「人材サービス企業からの紹介」がいずれも3割を超え、次いで「ヘッドハンティング」が3割弱です。現在のDX人材の採用は、リファラルなどのダイレクトリクルーティングも主流になりつつあると言えるようです。 転職を決意した理由として最も多かった回答が、「自分のやりたい仕事ができなかったから(34.8%)」であることから、DX人材を採用する際は相手の持つスキルや経験とのマッチングだけでなく、相手が希望する仕事と自社が期待するDX人材としての役割のマッチングがポイントであることがうかがえます。 とはいえ、国内外においてDXの実現に必要な先端ITスキルを持つ人材がそもそも希少なことも事実です。多くの企業は、高額なオファーで厳しい人材獲得競争に勝ち優秀な人材を確保すること自体、困難でしょう。 そこで注目を集めている人材確保の取り組みが、自社内でのDX人材の育成です。 DX人材育成のキーワード「Reスキル」と「リカレント教育」 DX人材の育成には、従来型IT人材から先端IT人材へと転換するための「Reスキル推進」が重要と言われています。 従来型IT人材とは、既存システムの受託開発、保守・運用サービス市場に従事する人材のことです。つまり従来型IT人材を既存システムの維持保守業務から解放しDX分野にシフトさせ、先端IT人材として育成するということです。 事業部門人材のIT教育や適材適所の配置など、IT部門外人材の流動化を促進して先端IT人材を確保するといったアプローチも重要です。この場合、ITスキルの習得からDX人材の育成施策を検討する必要がありますので、いわば企業による「リカレント教育」の推進だと言えるでしょう。 IPAの資料によると、DXの取り組みで成果を出している企業は、一過性でなく継続的かつ全社的に勉強会や啓発のための研修などを行っています。 【例】 •経営層を含む定期勉強会 •CDO 自ら全社員向けにデジタル研修実施 •全社員向けの啓発研修 •海外のスタートアップの情報を現地で収集 •DXメンバー の自発的な最新技術把握・実践 •コンテスト、資格取得奨励、他 また、教育の取り組みが多岐に渡っているほか、組織文化において「リスクを取り、チャレンジ」、「多様な価値観受容」、「仕事を楽しむ」、「意思決定のスピード」という傾向があるという結果も出ています。経営層が中長期的な視点のもと、全社的にデジタル社会に対応できるような教育を実施していることがうかがえます。 しかし、DX人材の育成には時間がかかることや、先端IT人材が従来型IT人材よりも「自分のやりたい仕事」、「クリエイティブな仕事」、「先端的な仕事」を求めて転職する傾向が高いことを踏まえ、外部から人材を獲得する努力を継続することも重要です。もし、マッチングが上手くいき優秀なDX人材を採用できれば、社内の人材にポジティブな影響を与え、人材育成上も大きなプラスとなるでしょう。 まとめ DX人材の育成・採用については、DXの実現が企業の経営戦略上不可欠であることを、まず経営層が強く認識する必要があります。「人材流動化」や「Reスキル支援」は全社的な取り組みがあってはじめて成果を出せるからです。 企業には、個々の社員のキャリアビジョンとITリテラシーを考慮しながら、既存の社員に学び直しの機会を積極的に提供する努力が求められます。採用市場にスキル・経験を保有するIT人材が希少なことを踏まえて、社内リカレント教育を推進するための「Reスキル支援の仕組み・環境づくり」をしていきましょう。 digital transformation DX Reスキル デジタル・トランスフォーメーション リカレント教育
人事施策 2020年8月12日 DXの実現に必要な人材とは(前編) IoT、AI、ビッグデータなどのテクノロジーの指数関数的な発展に伴って、世界規模でビジネスのDX(デジタル・トランスフォーメーション)化が進んでいます。多くの企業がこの変化を前にビジネスの転換期を迎えています。今回はDX推進に不可欠な「DX人材」について解説します。 [目次] DX人材とは、新たな価値を生み出せる存在 必要になるDX人材 なぜ今、DX人材が必要なのか まとめ DX人材とは、新たな価値を生み出せる存在 DX人材の理解にあたって、まずは「DX」について確認してみましょう。DXは「デジタル・トランスフォーメーション」の略称です。 経済産業省は「デジタル・トランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」において、DXを以下の通り定義しています。 『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』 DXの成功例には、Amazon、Facebook、Appleなどがよく知られています。いずれも既存業界を変革するだけでなく、人々のライフスタイルにも大きな影響を与えました。 また、日本の基幹産業である自動車業界も自動運転技術の登場により100年に1度と言われる大変革期を迎え、DX化を加速しています。あらゆるモノがインターネットに接続し、AIでデータを分析できる時代には、車の運転も周囲の状況をセンサーでキャッチした安全走行が可能になります。 今や自動車=「乗るもの」「所有するもの」という概念が変わりつつあり、安全で快適な空間の在り方、新しい都市の在り方が構想されていることを、ニュース等で目にした方も多いのではないでしょうか? DXとは単なるデジタル化、技術革新ではなく、人々の暮らしや社会の在り方にまで変容をもたらすことを意味します。DX時代においては、単にデジタル技術に優れているだけではなく、技術を活用して顧客に新たな価値を提供できるDX人材が必要になります。 必要になるDX人材 独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)は、2019年にDXの取り組み実態の把握やDX推進の組織や人材のモデル化を目的とした調査の結果を公開しています。調査対象は、東証一部上場企業です。 その中で、DX人材の一例として以下の職種を定義しています。 ・プロデューサー DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材 ・ビジネスデザイナー DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進等を担う人材 ・アーキテクト DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計できる人材 ・データサイエンティスト/AIエンジニア DXに関するデジタル技術(AI、IoT)やデータ解析に精通した人材 ・UXデザイナー DXやデジタルビジネスのユーザー向けデザインを担当する人材 ・エンジニア/プログラマ 上記以外にデジタルシステムの実装やインフラ構築等を担う人材 なぜ今、DX人材が必要なのか 同調査では、8割を超える企業がプロデューサー、ビジネスデザイナー、アーキテクト、データサイエンティスト/AIエンジニアの人材が不足している、と答えています。 約6割の企業が「自社の優位性や競争力の低下」を懸念し「ビジネス変革の必要性を非常に強く感じている」と回答しているものの、取り組みは「業務の効率化による生産性向上」に留まり、「新規製品・サービスの創出」は半数に満たないという実態も明らかになっています。 その理由として、現在の「既存システム」がDX実現の障壁となっていることに加え、DXに向けてビジネスモデルやシステムを見直したくても、必要な人材が社内にいないことが挙げられています。DXの推進に向けてまず取り組むべきは、人事面の課題だと言えるでしょう。 まとめ DXとは、データやデジタル技術を活用して市場に変革をもたらし、顧客に新しい価値を提供していくことであり、企業のDX推進にあたっては多様なDX人材が必要になります。DX化は企業が優位性や競争力を維持するための必須課題ですが、多くの企業でDXを推進する人材が不足しているのが現状です。企業には、まずDX人材を確保するための採用・育成という人事戦略が求められています。後編では、DX人材の育成方法について解説します。 digital transformation DX DX人材 デジタル・トランスフォーメーション
人事施策 2020年8月05日 日本で「エンゲージメント」が重視される3つの理由と、得られる効果とは 日本人の仕事に対する価値観は、少子化による若手人材の不足、雇用形態の多様化、終身雇用からジョブ型雇用へ転換を図る企業の増加なども影響し、昔より多様化してきました。企業と個人の関係はフラットになりつつあり、ミレニアル世代以降の若者は、特にその傾向が強いと言えるでしょう。 このような流れのなか人事領域で注目されてきたのが「エンゲージメント」という概念です。今回はエンゲージメントの意味、重要性が高まってきた背景、エンゲージメント向上の効果を紹介します。 [目次] 組織と個人の関係を表す「エンゲージメント」とは? 日本で「エンゲージメント」が重視される3つの理由 エンゲージメント向上による効果 まとめ 組織と個人の関係を表す「エンゲージメント」とは? エンゲージメントとはお互いの愛着や貢献意欲を意味する言葉であり、人事の視点においては企業におけるミッション・ビジョンを明確に打ち出し、従業員に対して仕事に意欲を持てる環境を提供することで、従業員が企業の方向性や目標に対して共感し、貢献したいと思う相互の関係性の強さを意味します。 エンゲージメントは1990年代、米国の企業で生産性向上に対する意識が高まるなか従業員満足度にかわる概念として注目され始めました。従業員満足度よりも企業の生産性との関係性が強いと解釈されたことが大きな理由です。 日本で「エンゲージメント」が重視される3つの理由 日本で注目され始めている理由は3つあります。 ・個人の価値観の多様化 近年の若い世代は、仕事に対して収入や昇格よりも働く意味、やりがいを重視する傾向があります。一方、50代を中心とするミドル層は1社に長く勤め上げ、安定した収入と出世を目指すことに価値をおく層が多数派です。世代によって価値観が異なるだけでなく、女性や外国人社員の増加、雇用形態の多様化も進み、今は一つの組織内に様々な価値観を持つ従業員が存在します。多様化した従業員の価値観、ニーズに応えるためにエンゲージメントが注目されています。 ・組織と個人の関係性の変化 少子化により若年層の優秀な人材を確保する競争が熾烈になっています。若い世代は終身雇用に幻想をあまり持っておらず、自分の成長を重視し、現状に不満がなくても転職する傾向があります。個人と組織が対等な関係に変化するなか、企業には個人の意志を尊重したキャリア設計を実現することが求められるようになり、エンゲージメントが着目され始めました。 ・科学的根拠に基づいた人事アプローチ HRテクノロジーの進歩により、従業員データを収集しデータやエビデンスをもとに意思決定する人事アプローチが重視されています。エンゲージメントは生産性との相関関係などを測定できる指標でもあるため活用する企業が増えています。 エンゲージメント向上による効果 エンゲージメントを高めることで期待できる効果を紹介します。 ・離職率の低下、優秀な人材の流出を防ぐ 2018年、モチベーションエンジニアリング研究所が慶應義塾大学院の岩本研究室と共同でグループの4法人を対象に行った調査では、エンゲージメントスコア(ES)と退職率の相関に-0.73~-0.97という「強い負の相関(逆相関)」が見られ、ESが高いほど退職率が低い傾向にあることがわかりました。メンバー層、管理職層双方の退職率に影響を与えていることから、エンゲージメント向上が優秀な人材の流出防止につながることが推測できます。 ・業績、生産性の向上 また、同研究所が上場企業66社に対し行った調査において、従業員エンゲージメント向上が営業利益率や労働生産性にプラスの影響があるという結果も出ています。国内外の複数の機関からも同様の調査結果が発表されていることから、従業員エンゲージメント向上に取り組むことで生産性が向上することも期待できます。 ・リファラル採用 社員に友人、知人を紹介してもらうリファラル採用に協力する社員は、「会社が好き」「会社に貢献したい」と思う、まさにエンゲージメントの高い社員です。エンゲージメントが高い社員が増えるほどリファラル採用が成功することが期待できます。 まとめ 価値観の多様化、HRテクノロジーの進歩とともにエンゲージメントという概念が注目されています。エンゲージメントと生産性の直接的な相関については様々な研究機関から調査結果が発表されているため、今後もエンゲージメント向上に取り組む企業は増加していくでしょう。 エンゲージメント ミレニアル世代 リファラル採用 生産性向上 離職率
人事施策 2020年7月29日 リスクマネジメント-デジタル化、オンライン化の加速に潜むリスクを防ぐ企業の一手とは? 働き方改革の推進により、大手企業を中心に導入され始めているテレワークやリモートワーク。新型コロナウイルス感染症の流行を機に、本格的に導入する企業がますます増えています。 テレワークはもちろん、社内会議や商談もオンライン会議に、セミナー開催はウェビナーに移行と、今や様々な企業活動がオンライン化されつつあります。デジタル化により業務の効率化が進むのは望ましいことです。しかし、一方で情報漏洩やウイルス感染リスクも高くなるため、企業はリスクマネジメントも併せて進める必要があります。 今回は、デジタル化、オンライン化に伴うリスクマネジメントの進め方を解説します。 [目次] 企業の取り組むリスクマネジメント デジタル化、オンライン化に伴うリスクマネジメントのステップ 「ルール」「人」「技術」のバランスが取れた対策 まとめ 企業の取り組むリスクマネジメント 企業のリスクマネジメントは、デジタル化、オンライン化に限らず自然災害対策やセキュリティ対策など様々なリスクに対して取り組まれてきました。 リスクマネジメントとは、企業の諸活動におよぶ悪影響を低減せるために、要因(リスク)を特定し、資産や企業の稼働力を保護するために必要な対策を最小のコストで運営管理するプロセスであり、経営管理手法の一つです。 リスクマネジメントは、以下のサイクルで展開していきます。 (1)リスクマネジメント方針の確立 (2)リスク発見 (3)リスク算定 (4)リスク評価 (5)リスク対策 デジタル化、オンライン化に伴うリスクマネジメントのステップ 以下のステップで進めます。 (1)リスクマネジメント方針の確立 デジタル化、オンライン化によるリスクに対する経営方針をまとめ、どのレベルのリスクを対象に取り組むか、責任の所在をどうするかなどの方針を決定します。 (2)リスク発見 発生しうるリスクをすべて列挙します。リスクの種類と損失形態を関連づけ「何が、どのように」発生するかを把握することが重要です。 【例】 〇重要情報の消失など情報漏洩、ウイルス感染 原因:ノートPC・モバイルの持ち出しや公共Wi-Fi の使用、サテライトオフィスやカフェで作業中の画面の覗き見、情報漏洩に対する社員の意識の低さなど 〇労働実態が見えにくい労働管理リスク 原因:社員の勤務状況が自己申告または画面越しの把握になるため 〇コミュニケーション不足による生産性の低下 原因:テキスト中心のコミュニケーションによる情報の質と量の低下 (3)リスク算定 発見されたリスクを「損失の影響の大きさ」と「発生確率」の両面から算定します。 (4)リスク評価 算定されたリスクをリスクマネジメント方針に沿って、自社のリスクマネジメントプログラムで扱うか否か判別します。 (5)リスク対策 各リスクについての対策を実施します。 【例】 〇重要情報の消失など情報漏洩、ウイルス感染のリスク 対策:「多要素認証」導入、VPN(バーチャル プライベート ネットワーク)使用、VDI(仮想デスクトップ)化、セキュリティ対策ソフト導入、覗き見防止フィルター活用など 〇労働実態が見えにくい労働管理リスク 対策:テレワーク用勤怠管理ツール、タスク管理ツールの導入、フレックス勤務や時間単位の年次有給休暇制度の導入など 〇コミュニケーション不足による生産性低下のリスク 対策:ビジネスチャットの活用、オンライン通話での1on1実施、部署全体の週次オンラインMTG、月次ワークショップ開催など 「ルール」「人」「技術」のバランスが取れた対策 総務省は、平成30年4月に公表した「テレワークセキュリティガイドライン」において、情報セキュリティ対策は「最も弱いところが全体のセキュリティレベルになる」という特徴があるとし「ルール」「人」「技術」の三位一体のバランスが取れた施策を推奨しています。 まず、自社のルールを明確にし、経営者、システム管理者、社員一人ひとりがリスクマネジメントに対して正しい認識を持つこと、適切なセキュリティツールを導入することが重要です。 まとめ デジタル化、オンライン化により業務の効率化が進む一方で、情報漏洩リスクやコミュニケーション不足による生産性低下が懸念されています。事前にリスクを想定し、適切な対策を実施していきましょう。 ウェビナー オンライン会議 セキュリティ マネジメント リスクマネジメント
人事施策 2020年7月22日 多様な人材をまとめるリーダーの要素と組織を成功に導くチーム運営のステップ 働き方の多様化が進んでいくなか、正社員だけではなく非正規社員、フリーランス、インターンなどさまざまな雇用形態のメンバーを、目標達成に向けてマネジメントする機会が増えています。バックグラウンドはもちろん、個性や利害関係が異なるメンバーのチームで成果を上げるためには何が重要でしょうか? 今回はチーム運営を成功に導くために必要不可欠なステップとリーダー人材に求められるスキルを解説します。 [目次] マネジメントの観点で捉える、チーム運営に必要な人材とは 組織を成功に導くチーム運営、そのステップとポイント まとめ マネジメントの観点で捉える、チーム運営に必要な人材とは チーム運営を担うリーダーには、メンバー一人ひとりの能力を最大限に発揮させる力が必要です。チームワークを発揮できる環境を整え、メンバーの力量や個性を把握し、個々のモチベーションを高め、維持していくマネジメント力が問われます。 また、チームの目的である組織目標達成に向けて、メンバーを牽引する強いリーダーシップも必要です。チーム運営には「マネジメント力」と「リーダーシップ」を兼ね備え、チーム運営についての知識を持つ人材が求められます。 組織を成功に導くチーム運営、そのステップとポイント 組織を成功に導くチーム運営は、どのようなステップで実現できるのでしょうか? ここではチーム運営のフレームワークの一つである「タックマンモデル」を紹介します。 アメリカの心理学者Bruce Tuckman氏は、チームの成熟段階を「形成期、混乱期、統一期、機能期、散会期」の5ステップに整理したうえで、混乱期や統一期をへて機能期に到達しなければ、チーム力は十分に発揮されないと述べています。 ・形成期(Forming) チームを形成していくステップ。メンバーの目標に対する理解が浅く、メンバー同士もお互いを詳しく知らないため、チーム内に緊張感がある時期です。このステップのマネジメントではビジョンの明示や目標の共有、アイスブレイクによるチーム内の緊張緩和、チーム活動の阻害要因の見極めが必要です。 ・混乱期(Storming) 目標や課題へのアプローチ方法を模索するステップです。個々の経験や価値観の違いからメンバー間で意見が分かれ、チーム内に混乱が起きる時期でもあります。 このステップでは意見の衝突を避けてはいけません。メンバーが率直に意見をぶつけ合い、相互理解を深められるようなマネジメントを行うことで、チームの抱える課題が浮き彫りになり、その解決に取り組むことができるからです。 ・統一期(Norming) メンバー同士が相互理解を深め、チームが機能し始めるステップです。チームの行動規範や役割分担が明確になりメンバーのベクトルが揃います。このステップではメンバー間のコミュニケーションを促進させ、チーム活動によりドライブをかけるためにメンバー個々に主体的な行動を推進してもらうことが大切です。 ・機能期(Performing) メンバーが自律的に活動しながらお互いを自発的にサポートしあうステップです。チームが成果を生み出す時期を迎えます。チーム全体を俯瞰しながら、メンバーの活動を適時バックアップするマネジメントに注力します。 ・散会期(Adjourning) 当初の予定期間の終了、半期や年度の終わりなどを機に、チームとしての活動を終えるステップです。最終的なチーム運営の成否が明らかになります。目標の達成状況だけでなく、メンバー間で感謝の声やチームの解散を惜しむ声が自発的に上がるかどうかも、チーム運営の成否を測る要素になります。 まとめ 組織が目標を達成するためには、多様な人材の能力を発揮できるチーム運営を行うことが必要です。成果を出すチーム運営には、ときに摩擦を恐れず相互理解を促進させるステップが不可欠です。また、各ステップで適切なマネジメントを実施できるリーダー人材が必要です。 ダイバーシティ マネジメント リーダー 人事戦略 多様性
人事施策 2020年7月15日 テレワーク(リモートワーク)でのコミュニケーションの注意点、対策のポイント 2020年に発生した新型コロナウイルスの影響により、テレワーク(リモートワーク、在宅勤務)の導入が急速に進んでいます。一方で、様々な課題も浮き彫りになりつつあります。今回はテレワーク(リモートワーク、在宅勤務)でのコミュニケーション上の課題、注意点、対応策を紹介します。 [目次] 急ごしらえなテレワークで浮き彫りになる課題 リモート環境下でのコミュニケーションの注意点 リモート業務でのコミュニケーションのポイント まとめ 急ごしらえなテレワークで浮き彫りになる課題 新型コロナウイルスの感染拡大以前の2019年に総務省が行った調査によると、テレワークは順調に普及していると言い難い状況でした。導入率は従業員100人以上299人以下の企業で14.5%、2000人以上の企業で46.6%であり、チャットやWeb会議システム導入企業は2割未満でした。 ところが、新型コロナウイルス感染拡大後の2020年4月、パーソル総合研究所が行った調査では正社員のテレワーク実施率は全国平均で27.9%、東京都の調査では都内企業のテレワーク導入率が62.7%に跳ね上がります。 多くの企業が迅速に対応したことがうかがえますが、一方で検討する時間があまりないまま導入したテレワーク環境下で様々な課題が表面化しました。特に懸念されているのがコミュニケーションエラーです。 リモート環境下でのコミュニケーションの注意点 民間企業が実施した複数の調査において、テレワークの課題のNo.1に「コミュニケーションの難しさ」が挙げられています。 ・コミュニケーションの量の低下 テレワークでは自席での上司や同僚との会話、休憩室や廊下などでの他部署の社員とのやりとりなどがなくなります。オフィスにいるだけで受動的に入ってきた情報が減少するため、意識的にコミュニケーションを図らないとコミュニケーションの量が低下します。 ・コミュニケーションの質の低下 リモート業務では文章でのやりとりが中心になります。これまでのように笑顔、目線、仕草で補完できていた情報がなくなるため、言葉が冷たく受け止められたり、曖昧な表現が誤解を生んだりなどコミュニケーションエラーが起きがちです。 リモート業務でのコミュニケーションのポイント リモート業務でのコミュニケーションを円滑にするポイントを紹介します。 ・ちょっとした会話をチャットで行う 対面で何気なくできていた気軽な質問、ちょっとした細かいやりとりをチャット上で行うことができます。チャットに「雑談ルーム」を設ける企業も増えています。ふと思いついたアイデア、素朴な疑問を共有することで業務が進み生産性が向上するのはリアルもリモートも同じです。 ・丁寧な表現をする メールやチャットでは曖昧な表現をできるだけ控えることが基本です。主語を明確にし、「あれ、これ」ではなくできるだけ固有名詞を使います。文章はひらがなを多めにして2~3行で改行するなど丁寧で読みやすい表現を意識しましょう。 「ありがとう!」「お疲れ様!」「了解しました!」といった一文や絵文字などで速やかにレスポンスすることも大切です。リモートワークではレスポンスがないと発信者が不安になったり無視された感覚になったりしやすいため注意しましょう。 ・Web会議では画面越しの印象に気を配る Web会議のときに相手の顔を見て話すと画面越しでは下を向いているように映ります。発言は伝えたい相手の名前を挙げながら、カメラ目線で行うことがポイントです。声の高さもワントーン上げて、できるだけ表情を豊かにするように心がけると印象がよくなります。 まとめ テレワークでのコミュニケーションは細やかな気配りが必要です。オンライン朝礼、チャットでの雑談、就業時の「蛍の光」などいろいろな手法が試みられていますが、各社まだ経験値が浅い状況です。社内カルチャーやITリテラシー水準も踏まえて、自社でルールやマナーを決めていきましょう。 コミュニケーション テレワーク リモートワーク 新型コロナウイルス
人事施策 2020年7月08日 ダイレクトリクルーティングのコツは手段の使い分けにあり 近年は採用媒体や人材紹介会社などに頼らず、企業が自ら人財を探し出し、接点を作り、獲得していく『ダイレクトリクルーティング』を行う企業が増えています。「攻めの採用」と言われるこの手法の特徴や導入時のコツについて解説します。 [目次] ダイレクトリクルーティングの特徴 ダイレクトリクルーティングのコツは手段の「使い分け」 まとめ ダイレクトリクルーティングの特徴 ダイレクトリクルーティングは従来型の採用手法と比べてどのような違いや特徴があるのでしょうか? まず、従来の採用手法では求職者の応募窓口が求人媒体企業や人材紹介会社などの外部企業です。企業は応募がないかぎり採用活動を前に進められず、「待ち続ける」ことになります。 一方、ダイレクトリクルーティングでは、企業が求める人財を自ら発掘して、ピンポイントかつダイレクトに接触を図ります。接点を持つ場も転職市場に限定されません。様々な場で求める人財を見つけだし、転職に関心のない段階であっても積極的にコンタクトするなど能動的なところが特徴です。 ただし、ダイレクトリクルーティングでは企業と個人とのコミュニケーションが「関係性の構築」から始まるため、採用プロセスが長期化することを覚悟して「ほしい人財」と接触を図る必要があります。採用担当者の業務負荷も高くなりますし、担当者のスキル、力量が問われる手法です。 ダイレクトリクルーティングのコツは手段の「使い分け」 ダイレクトリクルーティングには様々な手段があります。求める人材の層や採用担当者の人数、予算、社内体制よって適した手段を選ぶのがコツです。ここでは5種類の手段を紹介します。 手段01:オウンメディアを通した採用 自社のオウンドメディアで採用母集団の形成を図る手段です。発信する内容が求人情報に限定されないため転職を意識してもらうまで時間がかかるものの、潜在転職者層にもリーチできる手法です。オウンドメディア運営部門との協業体制の構築が必要です。 手段02:SNSの活用 Twitter、FacebookなどのSNSを通して採用する手段です。経営者、人事部門が発信者なら直接求人告知をしても自然ですし、一般社員にSNS上でオウンドメディアや公式サイトの採用頁を紹介してもらってもよいでしょう。SNS上での情報をもとに「このような企業、このような人たちと働きたい」思う層からの応募が期待できます。 手段03:自社イベントの開催 自社で主催するイベントの参加者にアプローチする手段です。イベントの内容や形式によっては優秀な潜在転職者層とのコミュニケーションをとることができます。長期的な採用母集団の形成が可能ですし、求める人財をスカウトできます。 手段04:ダイレクトリクルーティングサービスの利用 ダイレクトリクルーティングサービス企業のデータベースから求める人材を探して、スカウトメールやチャットでアプローチする手法です。コストはかかりますが採用担当者の業務負荷が軽減でき、進捗状況や人財データの一元管理も容易です。 手段05:リファラル採用 従業員に友人を紹介してもらう手法です。等身大の企業の魅力、課題などが求職者に伝わるためミスマッチが少なく、採用コストも抑制できます。ただし、従業員が企業に魅力を感じていないと効果が出にくいため、担当者の人選に留意する必要があります。 まとめ ダイレクトリクルーティングを導入する際は、複数の手法の特徴を理解して手段を使い分けましょう。どの手段も人事採用部門だけでは実行が難しいため社内の理解と協力を得ることも大切です。海外企業では採用担当者とは別に「人財発掘担当者」を置いているケースまであります。 長期的な視点で、全社で人材採用に取り組むことが、ダイレクトリクルーティングの成功につながるでしょう。 Sourcing ダイレクトリクルーティング ヘッドハンティング 採用手法