ワインの豆知識 2019年3月08日 【世界のワイン】旧世界に属するギリシャ(リトルアーク ランティディス)、ルーマニア(シエナ) 世界のワインは、歴史のあるヨーロッパを中心とした旧世界と、アメリカ大陸やオセアニアなどの新世界の2つに分類されることがあります。一般的にヨーロッパのワインと聞くとフランス、イタリア、スペインなどの有名な国を思い浮かべる人が圧倒的に多いのではないでしょうか。 しかし、ブドウが取れるところにワインあり。 ワイン造りの歴史はあるけど日本ではなかなかみない珍しいワイン産地の代表として、今回は知る人ぞ知る、ギリシャとルーマニアのワインをソムリエが紹介してくれました。 [目次] ワインベルト ギリシャのワイン紹介:リトルアーク ランティディス ルーマニアのワイン紹介:シエナ ワインベルト ワインはブドウから作られるため、ブドウが採れる地域であれば基本的にその国のワインというものが存在しています。一般的に北緯、南緯 30度〜50度の範囲をワインベルトと呼び、ワイン用のブドウの栽培に適している国と言われています。(正確な範囲については、最近の気候変動やブドウの品種改良などから諸説あるそうです) ルーマニア、ギリシャもしっかりこの中に含まれています。 改めてみると縦長の日本もすっぽり入っています。 ※日本のワインの産地は山梨が有名ですが(参考:【世界のワイン】日本ワインって実際どうなの?その特徴とは?)、もしかしたら今後は全国各地から地場の特徴的なワインがでてくるかもしれないですね。 ルーマニア、ギリシャのワインはともに旧世界には入りますが、比較的リーズナブルな価格帯です。その知名度もまだまだ発展途上のワイン。そのため、ある程度ワインを飲んでいる人にとっても、きっと新たな発見を得ることができるでしょうとのことでした。 ギリシャのワイン紹介:リトルアーク ランティディス ギリシャワインは最も歴史のあるワイン産地のうちのひとつです。近年、ワイン業界の中でも最高峰とも言われる資格、マスター・オブ・ワインが他の国に対してこのギリシャワインの知名度を大きく向上させました。品質も同様に近年大きく発展しており、世界中でファンが増加しています。このマスター・オブ・ワインは親日家の方らしく、今後ギリシャワインの日本進出はより一層盛んになるかもしれません。 大陸側の地域と海に面したエリアでその味わいに変化があるのがギリシャワインの特徴。 全体的な味わいは、地中海の国らしく魚介料理に合うワインが多いとのことでした。 今回のワイン:リトルアーク ランティディス 品種:アシルティコ(マラグジア) 品種はラベルには記載されていません。ギリシャの土着品種アシルティコから作られている白ワインです。日本では馴染みがあまりないかもしれませんが、ギリシャでは有名なワインで、造り手により味に変化があるそうです。 魚介系料理のレモンに合う、柑橘系の香りで、アッパーもスッキリしています。 料理を食べながらちょっとワインで口をさっぱりさせたいときなどにちょうどいいワインです。 柑橘系の爽やかな香りが地中海の風を彷彿とさせ、このワインを飲むときには地中海のリゾート気分を感じてもらいたいという思いもから、リゾートワインと時々呼んでいたりもするそうです。 ルーマニアのワイン紹介:シエナ ヨーロッパ南東部に位置するルーマニア。19世紀後半パリでルーマニアの人気がでたにも関わらず1947年頃社会主義国家となりソ連の影響下に入り、ワインの他国への供給をソ連以外中止し、国際市場から遠ざかりました。その事から『忘れ去られたワイン国』とも言われたりしています。しかし近年ふたたび存在を知られ、今やギリシャハンガリーについで15位前後の生産量にもなり世界中で楽しまれております。 ルーマニアはワインひとりあたりの消費量が高いことも特徴です。産業として、わざわざ輸出をせずとも国内だけで成り立っていたことも国際市場から遠ざかっていた要因かもしれません。 今回のワイン:シエナ 品種:メルロー ルーマニア以外の世界には比較的最近入ってきた赤ワインです。品種はラベルには記載されていません。 フランス、アメリカにはない繊細な味わいで、独特なスパイスの香りが漂うワインです。 当然、スパイスの効いた料理に合うワインで、お店でもスパイシーなお肉料理などとともに勧めているとのことでした。世界的にはまだ新参者かもしれませんが、ルーマニア内では生活に溶け込んだ人気のあるワインです。 値段が低いワインについては、輸出するための輸送コストのほうが高くなってしまうこともしばしば。そのため、日本で購入すると結果的に高額になるケースもあります。しかし、最近では一回あたりの輸出量を増やすなど、輸送コストの削減もすすみ、輸出量も増えてきているそうです。欧州ワインの関税も日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)発行でゼロになったりと、欧州ワインの輸入量はこれからも増えていきそうな雰囲気を感じます。 聞き手 赤坂あじる亭Annesso 店長/ソムリエ 野村美紀子 \本日紹介したワインはこちらのお店で飲めます/ 赤坂 あじる亭 Annesso 公式HP:https://celebourg.com/agiletei-annesso/ facebook:https://www.facebook.com/ajirutei.branche/ こだわり料理とソムリエが厳選したワインをバルスタイルでお楽しみ頂けます。 なるべく面白い国のワイン飲んでもらえるようにとソムリエが様々な国のワインを準備。現在、28カ国超えるワインを楽しむことができます。 ・リトルアーク Glass 750円 Bottle 4,800円 ・シエナ Glass 850円 Bottle 4,900円 ※季節により、在庫や料金に変更がある場合があります。ご了承ください。 ソムリエに訊く ワインの紹介
人事施策 2019年3月05日 傾聴 〜サーバント・リーダーシップを発揮するための重要なコミュニケーションスキル〜 サーバント・リーダーシップが求められる理由 〜現在の管理職に求められる部下育成と組織力を高める方法〜にて実践に必要なパーソナルパワーについてご紹介しました。今回は部下の自主性を引き出す4つのコミュニケーション・スキルから傾聴についてお伝えいたします。 サーバント・リーダーシップを発揮するために重要な4つのコミュニケーションスキル: 1. 傾聴 部下の発言を心を込めて深く聴き、共感を通じて部下の気持ちや考えを正しく理解し、信頼関係を築く力 2. 質問 部下の頭の中にあるものを整理し、気付きを与え、自発的に考えて行動を促していく力 3. 承認 部下を尊重し認め、やる気や意欲を上げて、上司としての信頼感を醸成する力 4. フィードバック 行った活動の結果を振り返り、成功や失敗から学び、改善・向上に繋げる力 [目次] 傾聴とは 傾聴のメリット 傾聴を磨くための3つのテクニック まとめ 傾聴とは 部下の発言を心を込めて深く聴き、共感を通じて部下の気持ちや考えを正しく理解し、信頼関係を築く力です。「聞く」のではなく「聴く」であり、相手に意識を向けて、目で聴き、耳で聴き、心で聴き、何をどのように話しているのかを捉えることが重要になります。真剣に聴くことは、部下と向き合う基本姿勢であるとともに、部下に信頼感を起こさせることにつながります。 部下をお持ちの方、特に忙しい時などに以下のような行動をしてしまってはいないでしょうか? <傾聴ができていない=部下は話を聴いてもらえていないと感じるケース> ・忙しそうにして、顔をパソコンやスマホの画面、資料に向けたまま聞く ・そっけないあいづちや生返事をする ・部下が説明している途中で自分の意見を挟む ・話の途中で遮り、「こうすべきだ」とアドバイスや指示を出してしまう ・部下の話を早く終わらせようと、自分から断定的に結論を押しつける 部下は上司に話を聴いてもらえないと感じると、上司にとって自分は重要ではないと感じ、不信感や疎外感、不安を覚え、仕事に対するやる気を失っていきます。 それに対し、しっかり話を聴いてもらえていると感じるのは以下のような対応をしているケースです。 <傾聴ができている=部下は話を聴いてくれていると感じるケース> ・作業の手は安め、話を聞くことに集中する ・部下に顔を向け、体を少し前に傾けた姿勢をとる ・アイコンタクトをしっかりとる ・表情を部下に合わせ、話しやすい雰囲気を作る ・「そうなんですね」、「なるほどですね」など部下の気持ちを汲み取るあいづちを返す ・話の内容を勝手に判断せずに、部下の言っていることを一旦そのまま受けとめる 部下は、自分の上司が気持ちをしっかりと受け止めてくれている、と安心感を得ることにより上司を信頼し、本音で会話をするようになります。 傾聴のメリット 傾聴を実践することで、以下のメリットを得ることができます。 課題の発見:部下を深く理解することで、抱えている課題や重要な点が見えてくる 良好な関係:部下の上司に対する信頼感を醸成し、良い関係を築ける 部下の自己成長:部下に内面をみつめる機会や気づきを与えるきっかけをつくる 傾聴によって得られる「課題の発見」「良好な関係」「部下の自己成長」は組織運営において大きな効果を発揮します。部下の抱えている本当の課題をみつけることで、組織としての課題を正確に把握することができます。良好な関係を構築することで、部下のエンゲージメントも自然に高まり、意欲高く組織に貢献をしてくれます。そして、コミュニケーションが自己成長のきっかけにもなるため、部下が自発的に行動する組織になります。 傾聴力を磨くための3つのテクニック 傾聴を実践していくうえで、傾聴力を向上させることができる3つのテクニックをご紹介します。 1.ミラーリング 2.バックトラッキング 3.パラフレージング 1.ミラーリング 自分の身振りや動作、表情を部下に合わせてあげることで共感を示します。 部下と感情を共有することで、部下との一体感を得ることができます。 2.バックトラッキング 一般的にオウム返しと言われる方法です。部下の言葉をそのまま使い応答することで、相手の伝えようとすることを理解し、共感していることを示します。 部下は自分が伝えようとしていることを理解してくれるかどうか不安に思っています。不安を解消することで本音を語ってくれます。 3.パラフレージング 部下の言葉やフレーズを別の言葉や表現で言い直すことで、部下が伝えようとすることをより深く理解し、共感していることを示します。 異なる表現を用いることによって、部下が自分の話を整理して、気づきを深めていくことができます。 これらのテクニックをうまく組み合わせながら活用していくことで、傾聴が深まっていきます。しかし傾聴で一番大切なことは、心から相手のことだけを考えて向き合うことです。自分の保身や組織の業績をあげたいという考えだけで部下と向きあい、テクニックだけを多用すると相手にもそのことが伝わり、見透かされてしまいます。意図しない逆の結果にもなり得ますので、テクニックの乱用には注意しましょう。 まとめ これまで傾聴を意識したことがない人が改めて意識しようとすると、つい口を挟みたくなったり、時間の無駄だと感じてしまったりと我慢が必要になるかもしれません。しかし、自分の考えを押し付けていては、部下からの信頼を得ることはできません。ビジネスのスピードが早くなり、昔と比べると市場環境も大きく変わってきています。以前は正しかった自分の考えが必ずしも現在も正しいとも限りません。 傾聴を実践するには、先入観を持たずに相手の立場に立って考えることが大切です。サーバント・リーダーシップを発揮して強固な組織の構築へ、まずは傾聴を意識してみてはいかがでしょうか。 続き:質問力を鍛えて上司・部下のコミュニケーションを円滑にする!6つの質問の種類と5つのポイント 〜サーバント・リーダーシップを発揮する〜 「今求められるリーダーシップ -サーバント・リーダーシップ- 」について体系的にまとめた資料をダウンロードすることができます。以下よりご確認ください。 資料ダウンロード マネジメント リーダーシップ
コラム 2019年2月25日 受講者マインドを醸成する あるお客様からお聞きした、課長昇格者向けのマネジメント系研修での話です。部下育成・評価をテーマにした講義の場面で、受講者から「〇〇について知らないから教えてほしい」という質問があったそうです(〇〇とは、管理職として理解が必要な人事制度の内容と思ってください)。その研修をオブザーブされていたお客様は、その質問の仕方に少々違和感を覚えたそうです。その受講者の質問の仕方も影響していると思われますが、自分は“知らない”ことが当然で、“教えて”もらうことが当たり前、という雰囲気がありありだったのです。知らないことを質問すること自体は何の問題もありません。ただ、その研修の受講対象者は、今後経営の一端をリーダーとして担っていくことを期待されている方々であったため、スタンスとしては、「知らないから教えてほしい」ではなく「分からないからぜひ知りたい」ではないのかと、お客様は受講者の”マインド”に大きな疑問を感じたようでした。
ワインの豆知識 2019年2月21日 ワインの選び方!伝統国、ニューワールド・・・国による味の違いを理解する 初心者にはお店でワインを選ぶのはなかなか難しいもの。しかし、大枠から理解すればなんとなく味の違いが理解できるようになってきます。今回は、「ワインの違いが分かる人」を目指す初心者向けに、国から考えるシンプルなワインの選び方をソムリエが教えてくれました。 [目次] 伝統国とニューワールド 国による味の違い 具体的ワインのご紹介 まとめ 伝統国とニューワールド 国による味の違い 以前、ソムリエに訊く!ワインのラベルと瓶の形状から分かることにて、「伝統国」と「ニューワールド」についてご紹介しましたが、ワインの世界では、フランス、イタリア、スペインなどのヨーロッパの国を「伝統国」とは呼び、アメリカ大陸やオセアニアなどのアメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、チリ、を「ニューワールド」と呼びます。 国による味の違いを考えるときに基準となるのがその国の「気候・気温」です。ワインはブドウから作られますが、そのブドウが気温の低い国だと糖度が上がらず甘くなりずらいため、引き締まった味になると言われています。一方気温が高めな場合、糖度が上がり全体的にまろやかで甘さを感じるワインになるそうです。 伝統国であるヨーロッパとニューワールドであるアメリカ大陸、南米などを比較すると概してヨーロッパ側のほうが気温が低めになります。それらがワインの味に影響がでてくるそうです。 国 気温 ブドウの糖度 ワインのテイスト 伝統国 低め 低め 引き締まった味わい ニューワールド 高め 高め 甘みがありまろやか 具体的ワインのご紹介 それではその違いについて、具体的にご紹介します。 【伝統国 イタリア キャンティ・クラシコ】 イタリアのトスカーナ地方のワインです。キャンティとはワイン産地のひとつ。イタリアを代表するワインとして世界中で大人気になり、キャンティを名乗り製造する人が急激に増加しました。その時に、以前から製造している人たちが新たに作り始めた人たちとは明確に違うということを主張するために「キャンティ・クラシコ」ができたそうです。 ブドウの品種はサンジョベーゼです。※伝統国のワインはラベルにブドウの品種が記載されていません。 酸が強くひきしまった味わいが特徴で、お肉と相性がとてもいいワインです。 【ニューワールド アメリカ・カリフォルニア トリム】 アメリカ カリフォルニアのワインです。 ブドウの品種はシャルドネで、ラベルにもしっかり記載されています。 余談ですが、ラベルにブドウの品種を記載しだしたのはアメリカからとも言われています。よくもわるくも商業主義のお国柄がこのあたりに滲み出ている感じがしますね。 シャルドネは生産者の影響を受けやすい品種で製造工程により味わいが変化するそうです。今回のトリムはバターのような香ばしさが特徴で、甘みがありまろやかな味わいが楽しめます。 まとめ 気温によりブドウの味がかわるため、作られる国によりワインの味わいも大別されていきます。 ・伝統国ヨーロッパ→比較的寒い→ブドウの糖度が低め→ひきしまった味わい ・ニューワールド→比較的暖かい国が多い→ブドウの糖度が高め→甘みがありまろやかな味わい こちらを覚えておくことで、今後更に知識をつけていくときのひとつの基準にできるのではないでしょうか。また、ひとつの参考情報として、糖度はアルコール度数にも影響があるそうです。比較的気温が高めの地域で作られるアメリカのワインはブドウの糖度が高いため、アルコール度数も1%くらい高いとのことでした。 ヨーロッパのワインは品種が記載されていないので、覚えるのが大変ですが、飲み比べしたい場合はぜひソムリエに相談してみましょう。 ワインショップやお店で、国を基準としてワインを選んでみても楽しめますね。 聞き手 赤坂あじる亭 店長/ソムリエ 小巻秀人 \本日紹介したワインはこちらのお店で飲めます/ ワイン居酒屋 赤坂 あじる亭 公式HP:https://celebourg.com/agiletei/ facebook:https://www.facebook.com/ajirutei/ 赤坂見附駅徒歩2分。各地で修業を積んだシェフ達の本格欧風料理とソムリエ厳選の世界各国のワインが楽しめるワイン居酒屋です。取り扱うワインは400種以上。赤坂でもトップクラスの品揃えを誇ります。 ・キャンティ・クラシコ ・トリム ボトルで両方とも6,000円程度 ※季節によりなくなる場合があります。ご了承ください。 ソムリエに訊く ワインの紹介
人事施策 2019年2月18日 サーバント・リーダーシップの実践 〜管理職の持つ2つのパワー〜 「サーバント・リーダーシップが求められる理由 〜現在の管理職に求められる部下育成と組織力を高める方法〜」では、どうすれば、部下が成長し、活躍して成果を出してもらうことができるのか、今求められるリーダーシップのスタイルとして、支援型リーダーシップであるサーバント・リーダーシップを紹介しました。 今回は、その支援型リーダーシップである「サーバント・リーダーシップ」を実践し、どのように部下と向き合っていくのかをお伝えします。 [目次] 管理職の持つ2つのパワー 自主性の尊重とビジョンの共有 具体例と4つのコミュニケーションスキル 管理職の持つ2つのパワー リーダーとなる管理職の方々は、1. ポジション・パワー、2. パーソナル・パワー の2つのパワーを保有しています。 1. ポジション・パワー〜指示命令で部下を動かす〜 組織における地位や職位が持つ力です。誰でもそのポジションにいる限り、継続されます。立場や威厳などの統率能力で部下に指示に従わせ、言うことを聞かせるパワーです。ポジションがなくなると人は動いてくれなくなるため、肩書きが変われば失われるパワーになります。立場によって人を動かしているにも関わらず、自分が動かしていると錯覚してしまう人も少なくありません。 2.パーソナル・パワー〜部下の自発性を引き出す〜 共感力、対話力、想像力などの人としての魅力と信頼感を通じて、ポジションにかかわらず発揮される力です。上司としての部下との向き合い方やコミュニケーション力が重要な役割を果たします。部下が、「この上司は、私のことを考えてくれている、大切に思ってくれている、期待してくれている」「この上司は、自分の強みや能力を引き出して、成長させてくれる」という思いから、働きがいや仕事への意欲を上げ、自ら考えて行動するようになることが特徴です。 サーバント・リーダーシップを発揮する人は、ポジション・パワーだけではなく、パーソナル・パワーをうまく活用して部下を動かします。 ポジション・パワーで強制的に人を動かす場合、部下の会社に対するエンゲージメントはなかなか上がりません。部下が主体的に行動することを好む人の場合は、自己実現できる環境を求め、転職なども考えるのではないでしょうか。一方、信頼関係や働きがいで力を発揮してもらうように促すことができれば、給与などの条件以外にも魅力を感じ、会社に対するエンゲージメントも高くなります。結果、チームとしての業績向上に向けた強固な組織を構築できます。 自主性の尊重とビジョンの共有 パーソナル・パワーを発揮するためには、前提として、部下の自主性を尊重することと、ビジョンを共有することを意識する必要があります。 上司は部下の自主性を尊重し、成功や成長を支援する行動を実践することによって、信頼関係が育まれていきます。また、組織全体が同じビジョンや目指す目標をしっかりと共有できていれば、上司が組織を導くのではなく、組織に所属する一人ひとりが能動的に活動をしていくことにつながります。 具体例と4つのコミュニケーションスキル 2011年にドイツで行われたFIFA女子ワールドカップで、なでしこジャパンを率いたサッカー指導者の佐々木則夫監督はサーバント・リーダーシップを発揮した典型例として有名です。上から目線での指示命令ではなく、選手に応じて得意分野を引き出すコーチングとティーチングを駆使し、自主性を尊重したチームを作りました。結果として、男女を通じて日本初のワールドカップ優勝という快挙を達成しました。 部下の自主性を引き出すには、4つのコミュニケーション・スキルが重要と言われています。 サーバント・リーダーシップを発揮するために重要な4つのコミュニケーションスキル: 1. 傾聴 部下の発言を心を込めて深く聴き、共感を通じて部下の気持ちや考え正しく理解し、信頼関係を築く力 2. 質問 部下の頭の中にあるものを整理し、気付きを与え、自発的に考えて行動を促していく力 3. 承認 部下を尊重し認め、やる気や意欲を上げて、上司としての信頼感を醸成する力 4. フィードバック 行った活動の結果を振り返り、成功や失敗から学び、改善・向上に繋げる力 指示命令型の上司の場合、部下は自分で考えず、言われた以上の事をしないようになります。一方、サーバント・リーダーシップを発揮する質問傾聴型の上司の場合、部下は自分で考え自分の能力を最大限に発揮して自らの責任で主体的に行動するようになります。 次回は、このコミュニケーションスキルについてより深掘りしてご紹介します。 続き:傾聴 〜サーバント・リーダーシップを発揮するための重要なコミュニケーションスキル〜 「今求められるリーダーシップ -サーバント・リーダーシップ- 」について体系的にまとめた資料をダウンロードすることができます。以下よりご確認ください。 資料ダウンロード マネジメント リーダーシップ
ワインの豆知識 2019年2月06日 【ワインの紹介】点字がラベルに施されたワイン M・シャプティエ 〜視覚に障害を持つ方々を含めたすべてのワイン愛好家へ〜 本日はフランス・ローヌ地方のワイン、「M・シャプティエ」についてソムリエに紹介してもらいました。 左:クローズ・エルミタージュ レ・メゾニエ 2016 品種シラー100% 参考上代:3,500円程度 右:エルミタージュ シズランヌ 2012 品種シラー100% 参考上代:12,000円程度 「ソムリエに訊く!ワインのラベルと瓶の形状から分かること」で紹介しているように、ワイン伝統国フランスのワインは地域により使われるブドウの品種が規制されるため(つまり地域さえ書けば判断が可能ということから)、ラベルにブドウの品種が記載されません。今回の地域 HERMITAGE(エルミタージュ)はローヌ地方にあり、品種はシラーになります。※「赤坂のソムリエに訊く!今更聞けないワインの基本、ブドウの品種ってなに?【赤ワイン編】」参照 M.CHAPOUTIERは「エム シャプティエ」もしくは「メゾン シャプティエ」と読みます。 ※余談ですが、メゾンとはフランス語で家や建物の意味で、お店などの頭につく言葉です。M.シャプティエ社(メゾン シャプティエ社)はローヌ地方を代表するワイナリーで、96年から社長を務めているのが、7代目のミッシェル・シャプティエ氏。 M.シャプティエと記載されている場合、Mの部分をこの7代目社長のミッシェル・シャプティエ氏のミッシェルと混同してしまう人もいますので、注意しましょう。 シラーはスパイシーな味わいが特徴で、スパイスの効いた料理にとてもあうワインです。 右のシズランヌは2012年に製造されたワイン。2019年現在、この2012年ものがシズランヌで飲むことができる最新のワインとのことです。 いいワインはブドウが凝縮されているため、まろやかで柔らかい味を楽しむためには熟成の期間を長くする必要があります。ブドウを凝縮して製造し、長期にわたり熟成をすることは、通常よりも生産・管理コストがかかります。それらのコストは売値にも反映されるため、他と比較して高い金額になるとのことでした。 M.シャプティエのワインは味もさることながらもう一つ大きな特徴があります。 それがラベルに施されている「点字」です。 かつてエルミタージュにある畑の所有者であったモーリス・モニエ・ド・ラ・シズランヌ氏は点字の短縮版を発明した人物でもありました。このシズランヌ氏に敬意を表すため、シズランヌという名前をエルミタージュワインに冠するとともに、視覚に障害をもつ人々にもワインを届けたいという思いを込めて、1996年よりM.シャプティエ社は全てのワインのラベルに点字の導入を開始したそうです。 こうした生産者の思いや歴史もワインの楽しみ方のひとつ。 まだM・シャプティエを飲んだことがない方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く ワインの紹介
コラム 2019年1月31日 宮澤 恵一 ハッピーリタイアメントの形 60歳で定年退職したシニアAさんの話です。すでに子供たちは独立、家のローンも返済が終わり、退職後は長年の多忙な仕事から解放され、趣味の釣りを楽しみながら悠々自適な生活を送ろうと考えていました。 最初の内は新しい生活をエンジョイしていましたが、次第に趣味もマンネリ化、家にいても煙たがれるようになり、その結果、日中は近場の公園、図書館、ショッピングセンターなどをあてもなく回遊する日々を送っています。 定年時の退職金で老後の心配はないはずでしたが、年金を受領できるのはしばらく先で、毎日貯金が目減りしていく生活は、精神的にも大きなストレスとなっています。以前は大手メーカーの技術系管理職として活躍していましたが、現場の技術から遠ざかっていたため、新たに技術の仕事を探すには自信がなく、かといってまったく経験のない仕事にチャレンジする覚悟もできていません。当初思い描いていたハッピーリタイアメントからは程遠い状況に陥っています。
ワインの豆知識 2019年1月24日 意外と知らないワインボトルの大きさと名称 画像にあるように、ワインボトルの大きさは1種類ではなく、いくつか存在しています。 大きさにより、味も含めた特徴があるのだとか。ソムリエが教えてくれました。 ワインボトルは一般的に小さい方から※画像左から、ドゥミ(ハーフ)、ブトゥイユ(普通のボトル)、マグナム、ジェロボアムと呼ばれています。 容量は、 ・ハーフボトル 375ml ・普通のボトル 750ml ・マグナム 1.5l ・ジェロボアム 3l と普通のボトルの750mlを基準に作られています。 容量が少ない、つまり液体の量が少ないほど熟成されやすくなります。ハーフボトルが一番熟成されやすく、ジェロボアムが一番熟成されなくなります。熟成されやすいとは言い方を変えると劣化が早いということ。ボトルの大きさにより味の変化のスピードが変わってくるとのことでした。 その他にも、一般的にマグナムボトルが最も美味しく飲めると教えてもらいました。 生産者にもよりますが、最もいい液体をマグナムボトルに使う生産者が傾向としては多いそうです。また、一番大きいジェロボアム 3l は特別なお客様の贈答用に使用され、一般的に市場に出回ることはほとんどないとのことでした。 海外ではハーフボトルも多く、飲み切れるため人気があります。しかし、生産量の関係から通常のボトルと比較し割高感(ハーフの場合は半額以上、マグナムの場合は倍以上)があるため、日本では需要が少ないです。 「少ない量が飲みたい場合は日本ではグラスで飲めますからね。こういったことも、ハーフボトルやマグナムボトルがあまり普及しない理由かもしれないですね。」とのことでした。 余談:ティーカップにまつわるお話 お話を聞いているとき、雑談で以下のことを教えてもらいました。 紅茶を飲むティーカップ。 セットでついてくるソーサーの容量とティーカップの量は同じになるように作られている。 証拠となる動画がこちら! https://youtu.be/ztgiMxEL66M 理由は、昔はソーサーに紅茶を移して飲むのが正しい作法だったからだそうです! ワイン含め、ヨーロッパ文化は奥が深いですね。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
人事施策 2019年1月18日 従業員数10人、30人、50人、100人 企業が考えておくべき対策・義務とは?【100人編】 どんな企業も起業時は0からのスタートです。 顧客が増え事業が広がり、徐々に組織として成長をしていきます。事業の拡大に伴って従業員が増えていくにつれ、会社としての課題も変わり、対応しなくてはならないことも増えていきます。 10人以上、30人以上、50人以上とシリーズで紹介してきましたが、最終回となる今回は従業員100人以上のケースについてご紹介します。 [目次] 100人の壁 従業員が100人(目安)になったら まとめ 100人の壁 よく従業員100人の壁という言葉が成長企業の間で言われることがあります。従業員が100人程度になると、組織や人材が多様化し、以下のような問題が発生する確率が高まるからです。 ・事業のニーズに人材の採用が追い付かない ・退職者が増え、事業の成長にマイナスのインパクトを及ぼす ・人に仕事が付いてしまい、組織としてのリスクヘッジができなくなる ・マネジメント層のハラスメントやコンプライアンス違反などの問題が生じる 100人前後の会社に在籍したことがある人は、上記のような問題は想像しやすいのではないでしょうか。この規模になると会社としての組織マネジメント力が重要になってきます。それまでは個人の力で対応できていたものが、逆に成長を妨げる要因になってしまったりするため、さらなる成長を目指すためには考え方を大きく変え、新たな仕組みを構築していく必要がでてきます。しかし、組織マネジメントを強化することは従業員の働く環境の変化にもつながります。これまで居心地の良さを感じていた社員が変化に耐えられず退職したりと、大きく人員に入れ替えが発生する企業も少なくありません。 従業員が100人(目安)になったら では、100人の壁を突破するためにはどうすればいいのか?以下の施策実施を検討されることをおススメします(義務ではありません)。 1.人事マネジャー・専任担当を配置 2.役割分担・組織化への対応 3.従業員のキャリアを見据えた人材育成 4.コンプライアンスの再教育やハラスメントへの対応 5.結婚・出産・介護など社員のライフステージの変化への対応 6.障がい者雇用(未達成の場合、納付金発生) これまでは強い営業力やプロダクトなどによって事業を伸ばしていくことができたかもしれませんが、組織マネジメント力が必要となるこの規模では、将来のさらなる成長に向けた人事戦略を企画・立案することができる人事マネジャーの専任担当を配置することをお勧めします。 権限をもたせた人事マネジャーを中心に自社に適した人事戦略を立て、組織の軸となる企業文化や会社が大事にしている考え方の継続的な発信、組織化への対応、将来のキャリアを見据えた人材育成などを実施することで退職リスクを下げることができます。また、従業員数増加によるコンプライアンス違反などのリスクに対しても再教育する仕組みを構築・運用することでコンプライアンス遵守の体制ができてきます。 その他にも、結婚・出産・介護などのライフステージを迎える従業員が増えてくるのもこの規模です。企業としてどのように受け止めて対応すべきか、方向性をしっかり定めることで、不本意な退職者を増やすことなく事業を成長させることができるようになります。 まとめ 組織化という側面から従業員数100人というのはひとつの大きな節目になります。このタイミングで属人的な対応から脱却し強固な組織をつくることができれば、その後の従業員数増加もスムーズに対応できるようになります。 100人の壁を超えられず、停滞する企業も決して少なくありません。組織として継続的に成長をするためには、発生する様々な課題を解決していく人事戦略が不可欠になります。 従業員数10人、30人、50人、100人、それぞれのシーンにおいて注意すべきポイントを全てまとめた資料をダウンロードすることができます。以下よりご確認ください。 資料ダウンロード 成長する組織
人事施策 2019年1月09日 従業員数10人、30人、50人、100人 企業が考えておくべき対策・義務とは?【50人編】 どんな企業も起業時は0からのスタートです。 顧客が増え事業が広がり、徐々に組織として成長をしていきます。事業の拡大に伴って従業員が増えていくにつれ、会社としての課題も変わり、対応しなくてはならないことも増えていきます。 初回の10人以上、前回の30人以上とシリーズで紹介している今回は、従業員が50人以上のケースについてご紹介します。 従業員が50人以上になったら発生する義務 経営者としては100人の壁を意識する人が多いかもしれません。しかし、この50人という区切りで以下の対応が義務として定められています。 1.衛生管理者・委員会の設置 2.産業医の選定 3.健康診断報告書の提出 4.ストレスチェックの実施 5.障がい者雇用 6.休養室の設置 ・役員の人数は含みません。 ・常用雇用の契約社員やアルバイトなども含まれます。 ・事業所が複数ある場合は、事業所ごとに従業員数を判断します。 このなかで、ストレスチェック制度については比較的新しく、「労働安全衛生法」という法律が改正され2015年12月から義務化されました。1年に一度実施し、労働基準監督署に報告書を提出することが求められています。精神障害の労災補償の請求件数増加などからメンタルヘルスに関する問題が社会的に表面化してきたことが背景にあります。 ストレスチェック制度については、厚生労働省からガイドがでていますので、これから開始を検討する企業は早めに一度確認することをお勧めします。 厚生労働省:ストレスチェック制度導入マニュアル 従業員が50人以上になった際に発生する義務は労務法令関連がほとんどです。30人編のときにご紹介しましたが、労務担当者の設定・任命が必要になるのはこれらの義務に対応するためです。50人の規模に達する前に予め担当者を決めておくことで、スムーズに対策や準備を実施することができます。 今回の50人以上になったら発生する義務について、一見すると短期的には事業への影響が少ないように見受けられますが、長期的な視点でみれば重要なことばかり。法人としての義務として捉えるのではなく、社員を守る視点で対応をしていくことが大切です。 法令遵守はもちろんのこと、変化に速やかに対応できる管理体制の強化をしていきましょう。 従業員数10人、30人、50人、100人、それぞれのシーンにおいて注意すべきポイントを全てまとめた資料をダウンロードすることができます。以下よりご確認ください。 資料ダウンロード 成長する組織